人生の転機はどこに転がっているかわからない。
 人との出会いが転機となるケース、また人との別れが転機となるケースなど、個人によって状況によって様々な転機が訪れる。 

 政治学者として知られ、著書『悩む力』(集英社/刊)がベストセラーとなった姜尚中氏は、先日出演したオーディオブック配信サイト「FeBe」の「革命対談」で、自らの転機を“20歳の時に初めて祖国である韓国を訪れた時”と語っている。

 姜氏は日本で生まれ、日本の教育を受けてきた。しかし、両親や家族の周りの人々は必ずしもそうではなく、自分の内面で価値観がぶつかりあう場面を幾度となく経験。大変な葛藤を抱えてきたのだという。

 その葛藤の末の韓国訪問だったわけだが、そこでの経験は姜氏に、本人の言葉を借りれば“天動説が地動説に変わったような”変化をもたらしたそうだ。

 同氏はその経験を「“ここでも人が生きている、どんな場所でも人が生きている”というすごく当たり前のことでしたが、そういうものから“人はどんな時代、どんな社会に生きても家族を持ち、泣き笑い、食べ、楽しむ”ということに目覚めると、自分の価値の葛藤がすごくバカバカしくなりましたよね。それが大きかった」と振り返る。

 何かに悩んだ時や葛藤した時、矛盾を抱えている時、それは確かに人生の危機である。
 しかし、“危機”というものは、その状況を打ち破るきっかけにもなりうるのだと、姜氏は語っている。

 矛盾や葛藤に人生がどうにも立ち行かなくなり、自分のアイデンティティのルーツに立ち返ってみる。
 20歳の姜氏が取った行動は、もがき苦しんだ末にやみくもに放ったパンチの一つだったのかもしれないが、それは確かに同氏の人生に風穴を空けたようだ。
(新刊JP編集部/山田洋介)


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