『いま、会いに行きます』の作者・市川拓司さんの待望の最新作『吸涙鬼』(講談社/刊)。若き死を運命付けられた女子高生・美紗と不思議な魅力を持った転校生の冬馬が織り成す純愛ファンタジー小説で、青春の美しさ、生きる希望などが詩的な表現で綴られており、純愛小説ファンならば必ず楽しめる一冊です。

 さて、この『吸涙鬼』の中で、こんなシーンが出てきます。

 わたしは微かな動揺を覚えた。彼の脆さに対するショックと、だからこそ自分は彼に惹かれたのだという確信。
 「分かるわ。たぶん、わたしも同じだから」
 彼は気付くはずもないけれど、わたしはこの言葉を、ほとんど愛の告白するように口にした。
 知ってる、と彼は言った。
 「ぼくらは似たもの同士だから」
 わたしは泣きたくなった。わたしたちは出会った。そのことがとても嬉しくて。

(以上、『吸涙鬼』より引用)

 似たもの同士。同じ価値観を持っていたり、同じ境遇で育ってきた人同士が惹かれあうということはよく聞く話ですが、実際のところはどうなのでしょうか。別の価値観を持っている異性の方が刺激的でもあるし…。

 果たして人は似ている異性に惹かれるのでしょうか?
 新刊JP編集部は、独自にWeb上でアンケートを実施(2010年7月21日〜2010年7月25日)。異性に惹かれる部分や似たものカップルエピソードなどを聞いてみました。


◆今付き合っている人は自分と似ている?
 まず、「今付き合っている人は自分と似ていますか?」という質問に対して、「似ている」「少し似ている」と答えた人は61%と、全体の6割を占めました。さらに、どの点が似ているかを聞くと以下のような答えが返ってきました。

【性格面】
「短気なところが似ているので喧嘩が絶えない」(20代/男性/フリーター)
「ちょっとしたことを相手任せにしてしまいお互い決められないところ」(20代/女性)
「私も彼もかなり性格が適当」(20代/女性)

【趣味・価値観】
「金銭感覚と余暇の過ごし方。インドア派なんです」(20代/女性/)
「好き嫌いのこだわりポイントが似ている」(20代/男性/技術職)
「服装や行動パターン 似ている方が楽だから長続きしやすい」(20代/女性/公務員)


 似ている点については大きくわけて、性格と趣味・価値観の2つの面が多くありました。同じ価値観を持っていれば、あまり喧嘩しなくて済みますよね。そういう意味では「短気なところが似ている」というのは少し残念。また、「メールや電話の頻度。これが違うと案外大変だと思う」(20代/女性)という意見もありました。相手のペースと自分のペースが合うことは付き合いを続けていくことで重要な要素です。


◆異性は似ているから好きになる?それとも自分と違うから好きになる?
 では、もともと似ているから好きになるのでしょうか。こちらについて質問をしてみたところ、こちらも過半数を超える63%の人が「そうだと思う」と答えました。

「自分は大人しいので、そういう人を好きになりますね」(30代/男性/営業)
「自分の趣味を認めてくれる人、となると必然的に似ている人になる。正反対の人で認めてくれればいいんだけど…」(20代/男性/専門職)
「考え方とか、あとは同じような立場にいる人は共感できるし、惹かれる」(20代/男性)


 しかし、多くの人がこうした言葉のあとに、「ただ、自分と違う部分があるのも大事」「人それぞれでそのときで好みは異なる」と続けていました。
 要は似ている部分と似ていない部分、そのバランスが大事ということですね。自分にない部分があるからこそ、相手から得るものもあるし、相手に与えられることもある。でも同じ部分があると安心する。恋愛とは難しいものです。


◆似たもの同士エピソード&恋愛観について一言言いたい!
 最後に、皆さんが知っている似たもの同士カップルのエピソードや、それぞれの恋愛観についてもコメントが届きました。

「友人が女の子を連れてきて、なかなかお似合いのカップルだと思っていたら親子でした。びっくりしまうま…」
 親子が似るのが当たり前ですが、相当若いお母さんなんでしょうね…。

「大学で毎日ペアルックしているカップルがいました。やたら目立って有名でした」
 林家ペー・パー子ご夫妻みたいな。仲睦まじいということは良いことですね。

「同じタイミングで同じ言葉を発する時がある。」
 双子、それとも夫婦のような。相手と自分が思っていたことが同じだったのでしょう。これも一つのカップルの姿です。

「自分と似ているから結婚したんだと思う。距離感の取り方や考え方が似ていないと相手に我慢させてしまうかもしれない。結婚相手はそれが似ているから楽だった」
 結婚している方からのご意見。どちらかがわがままにならず、ちょうど良い距離感を保てるのが結婚したきっかけのようです。

「どんな人だって、似ている部分と似ていない部分がある。大事なのは、こだわる部分、譲れない部分が同じ方向を向いているか。そこが似ていないとすぐに別れてしまう」
 自分の譲れない部分、相手の譲れない部分、それをお互いに認め合うこと。それが長く続いていく秘訣なのかも知れませんね。



 『吸涙鬼』の主人公である美紗と冬馬は、お互い自分たちは「似たもの同士」と認め合い、そして深い恋仲に落ちていきます。その様子はとても純粋で、そして何か触れてはいけないような甘酸っぱさを感じます。
 「似たもの同士」が織り成す純愛ファンタジーの世界に是非、飛び込んでみてください。
(新刊JP編集部/金井元貴)


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