写真家・渋谷ゆり。

 大学在学中よりスケートボード写真を撮り始め、卒業後は世界各国を旅する。現在は、スケート・カルチャーやトラベル誌での写真やコラムの連載をはじめ、シューズブランドの広告写真などを手がけるなど多岐にわたり活動中。最近では東京・大阪・福岡にある「ザ・ノース・フェイス」でエキシビションを行った。

 そんな彼女が世界各国を旅した中で、ファインダー越しに何をのぞいたのか。印象的だった文化の一つに、エチオピアの「コーヒー」をあげている。

 エチオピアに滞在した一ヶ月間、コーヒーを飲まなかった日はなかったというくらいに、どんなに田舎でも美味しいコーヒーを飲むことができたのだそう。そして、エチオピアの伝統的なコーヒーの飲み方を知ったという。

 それは「コーヒーセレモニー」というもので、誰かが訪れた時にコーヒーでもてなす昔からの習慣。事前の準備からコーヒーを飲むまで1時間近く待つことになるのだが、そんな時間の使い方もまさにエチオピアらしさと彼女は笑う。

 まず、コーヒーを作る環境を整えるために、まわりに新鮮な青草を敷きつめて乳香を焚く。そして炭火を使ってコーヒーの豆を煎り始め、その間はおしゃべりをしながら気長に焼きあがるのを待つ。こんがりと焼けた豆の香りをみんなで楽しんだ後、豆を小さな臼で粉状に叩いてつぶし、それを温めておいたポットに入れ、ぐつぐつと沸騰してきたらできあがり。

 小さなカップに砂糖をたっぷりと入れた濃厚なコーヒーがエチオピアのスタイル。そして、この「コーヒーセレモニー」を行うのは、必ず女性でなくてはいけないのだとか。

 エチオピアの文化に"シェア"というものがある。このコーヒーセレモニーも、エチオピアの主食インジェラも、みんなで飲み、みんなで食べる。渋谷さんは旅行中に何度も誘いを受け、地元の人たちとコーヒーや食事を"シェア"したという。

 ニューヨーク〜ジャマイカ〜エチオピア......。世界をめぐりシャッターを切り続ける写真家・渋谷ゆり。

 「インターネットが広がって、どこにいても世界中の映像を見ることができるけど、実際に自分がそこにいて見て感じる景色は、同じ景色でも、まったく違うもののような気がする。たくさんの国を訪れて物知りになるよりも、いろいろな文化や生活、その土地の価値観を体験して経験豊かな人間になっていけたらと思う」(渋谷さん)。

 そんな彼女の琴線に触れる文化とは、どういうものなのだろう。逆にこちらがのぞきたくなってくる。



『UNDER EXPOSURE JOURNAL 』
 著者:渋谷ゆり
 出版社:トランスワールドジャパン
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