リストカット、自殺未遂…ある少女の壮絶な半生

写真拡大

 「自分から死のうとしたのに、バカじゃないの?」
 リストカットを繰り返した揚句、マンションから飛び降りた実谷蒼依さんは、運ばれた先の病院で痛みに耐えているときに看護師さんにこう言われたそうだ。

 不登校になり、小学校5年生のときにリストカットを始め、やがて精神科に入院する。そして16歳で自殺未遂をした蒼依さんは著書『いち、にの、さん』(実谷蒼依/著 ポプラ社/刊)で当時の心の葛藤を詳細に描いている。

 生きていていいのかわからず、自分を傷つけることを止められなくなってしまっていた。なぜ、心の痛みは身体にでないのか。外から見えない痛みはどうすれば治せるのか。絶望の中、蒼依さんはやがて「死」に希望を見出すようになってしまう。
 しかし、「家庭」や「学校」という子供の小さな世界の中で、うまく居場所を見つけられなかった蒼依さんは決して特別なわけではない。2009年度の学生・生徒の自殺者は945人と、統計開始以来過去最多を記録した2008年度(972人)と同じ水準を記録した。「自傷行為も、死にたいと願う子供も、すぐ近くにいて、どこかで苦しんでいるはず」と蒼依さんは綴る。

 そして、今年20歳になった蒼依さんは生きようとしている。生きる気力と勇気を取り戻し、前に進もうとしている。
 その誓いが本書に告白されている。

 もし今、苦しんでいる人がいるとしたら、本書を手に取って蒼依さんの言葉に耳を傾けて欲しい。
 「生きることに真剣に向き合う」とはどういうことか、教えてくれるはずだから。
(新刊JP編集部/川口絵里子)


【関連記事】  元記事はこちら
「神待ち少女」の実態とは?現代の若者の姿に迫るノンフィクション
“無縁死”の現場を知るための3冊
60年代の連続殺人事件を手がかりに社会を分析した名論考

【新刊JP注目コンテンツ】
内定取消に!?終わりがない就職活動の実態…(新刊ラジオ第1084回)
社会とのかかわり方を指南する一冊(新刊ラジオ第707回)