プレシアン記事に掲載された、日章旗を掲げ中国・上海に向かう日本軍の写真

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日本政府が用意したチャーター便で来日し、厳重な警護にエスコートされて到着した軽井沢で拉致被害者と面会。「富士山を見たい」という要望に答え、ヘリコプターで1時間あまりの「遊覧飛行」をし、再びチャーター便で帰国。国賓級の待遇だった金賢姫(キムヒョンヒ)元北朝鮮元死刑囚の訪日は、今後も批判が続きそうだ。

韓国メディアもキム元死刑囚の訪日には首を傾げる。
東亜日報は『[記者の目/ユン・ジョング]金賢姫と日本の二重性、韓国は?』(24日付)と題した記事を掲載。

ユン・ジョング記者は「日本政府は金氏から拉致関連の新たな情報がないことを知りながら、このようなイベントを行った」「20数年前に北朝鮮を離れた金氏が、『○○は生きているだろう』とか『ほかの拉致被害者とも会ったと思う』と話すことはナンセンス」と批判。韓国政府も日本の要求に対応する前に、金元死刑囚を大韓航空機爆破事件の遺族たちへ謝罪させることが先決だと主張する。


ハンギョレ新聞は、22日に『[特派員コラム]3泊4日間の‘金賢姫’ショー/ジョン・ナンムグ』を掲載し、北朝鮮に拉致された田口八重子さんの長男飯塚耕一郎さんと、八重子さんと一緒に暮らしていたという金元死刑囚との再開は「格別な意味があった」との見方を示す。

しかし、金死刑囚に特別上陸許可を出し、チャーター機に乗せ、国賓級の警護を行ったのは完全に「ショー」であったと指摘。そのような日本政府の対応を見ると、だんだんと「日本には『相手の立場で考える』という心が不足していることに気付く」といい、「拉致問題が日本で大きな関心を呼ぶのは、怒りという共感を呼ぶからだ。では、そんなに正義感をもった人々が、なぜ帝国主義の侵略行為で今なお涙を流している人々に対して目を向けないのか」と日本を批判する。


韓国メディア「プレシアン(pressian)」は、日本の拉致問題解決に向けた活動そのものに不快感を示す。
プレシアンのキム・ジェミョン企画委員による『金賢姫‘勅使’を接待する日本、拉致を語る資格があるか?』(24日付)という記事は、「2010年夏、蒸し暑い梅雨の季節の不快指数を一層高める事件が起きた。大韓航空858機の爆破犯、金賢姫の騒々しい訪日ショーのことである」という文で始まる日本を痛烈に非難したものだ。

記事を要約すると、「金賢姫の訪日ショーは朝鮮半島の緊張を招くだけであり、悪材料として作用するだけ。それよりも、日本は20世紀始めに『大東亜共栄圏』をかざして帝国主義的侵略戦争を行い、240万人にも及ぶ韓国人を拉致した。日本は『植民地時代は過ぎたことであり、北朝鮮の拉致問題は現在も続いている問題』と言うかもしれないが、今も涙を流す慰安婦はどうなる。心から謝罪して頭を下げ、被害者に適切な賠償をしない限り、日本と韓国の間には葛藤が続くだけ」といった感じだ。

金元死刑囚や北朝鮮の拉致問題について、日本と韓国の報道には温度差がある。韓国の報道が冷めているのは、過去に日本から受けた侵略行為や、それによる被害者たちの苦しみを解決せずして北朝鮮の拉致問題は語れぬと感じているからだろうか。


参照:[記者の目/ユン・ジョング]金賢姫と日本の二重性、韓国は? - 東亜日報
参照:[特派員コラム]3泊4日間の‘金賢姫’ショー/ジョン・ナンムグ - ハンギョレ
参照:金賢姫‘勅使’を接待する日本、拉致を語る資格があるか? - プレシアン


(文:林由美)

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