貴重な写真と膨大な資料で追いかける“伝説のプロ野球球団”

写真拡大

 「南海ホークス」というプロ野球球団を覚えているだろうか。

 1950年に史上初のトリプルスリー(3割・30本・30盗塁)を達成した岩本義行や黄金時代を築いた名将・鶴岡一人をはじめ、木塚忠助、野村克也、杉浦忠、広瀬叔功、門田博光ら数々の名選手を輩出し、リーグ優勝12回、日本一2回に輝きながらも1988年のシーズンを以ってダイエーに球団を売却、50年の歴史に終止符を打った伝説の球団だ。
 水島新司作の漫画「あぶさん」の主人公・景浦安武も、この南海ホークスでプロ野球選手のキャリアをスタートさせており、その後もホークス一筋でプレイ。2009年に現役を引退している。

 河出書房新社から出版されている『南海ホークスがあったころ 野球ファンとパ・リーグの文化史』は、2003年に紀伊國屋書店から刊行された同名の単行本を補章を加えて文庫化したもので、都市社会学者の永井良和氏と建築史家の橋爪紳也氏が、貴重な写真と膨大な資料から南海ホークスの栄光と挫折の軌跡を追いかける。

 本書で特徴的なのは、「ファンと球団の関係」と「スタジアムという存在」にフォーカスしている部分だ。
 スタジアムはただ野球が行われる場所にとどまらず、ファンたちが集まり、交流し、そして自分たちの地域の象徴ともいえる「球団」を応援する「お祭りの場」としての機能を持っている。
 球団、ファン、そしてスタジアム。この3つがどう支え合い、どんなドラマを作り出してきたのか。本書には単なる球団史以上の面白みがある。

 時代は変わっても、スタジアム内で繰り広げられる選手たちがプレーし、それにファンが熱狂するという光景は変わらない。プロ野球ファンにはぜひとも読んで欲しい一冊だ。
(新刊JP編集部/金井元貴)


【関連記事】  元記事はこちら
伝説のプロ野球球団の全貌が明かされる
プロ野球界の名将と経営界の名将の“往復書簡”
プロ野球の開幕戦を観戦中に「小説を書こう」と決意した大物作家

【新刊JP注目コンテンツ】
楽天野球団のシークレット・マネージメント(新刊ラジオ 第1097回)
インコースを打て―究極の打撃理論(新刊ラジオ 第600回)