サッカーW杯においてベスト16進出を果たした岡田武史監督率いる日本代表。アウェイでの本戦で2勝をあげたのは歴史的な出来事であり、どちらも強豪国から勝ち取った素晴らしい勝利だった。

 しかし、この結果を得るまでには危機的な状況も訪れた。それでも岡田監督はすべてを冷静な計算のもとに乗り切ったと話すのは、臨床スポーツ心理学から、コメント心理分析に関する研究を積み重ねてきた児玉光雄氏。

 岡田監督は「逆境になればなるほどパワーを発揮するたくましさがあり、どんなピンチにおいても冷静に頭脳を働かせることができる」と児玉氏は指摘する。とにかく自分を追い詰めるだけ追い詰めて、最終的に「エイヤっ」と決断するタイプなのだ。自分のキャリアに裏付けされた感性や直感を常に研ぎ澄ませて決断することができるから、肝心の大事な場面でも開き直れる。それだけでなく、「チームの責任は自分が負う」という覚悟のある数少ない人望あふれるリーダーだと岡田監督を分析している。

 「もうこの試合に関してはいい。俺が責任をとる。ただミスを怖がったり、おどおどしたりしないで生き生きとプレーしてほしい」

 これは、あるJリーグの試合で岡田監督が語った言葉。前半に3点を奪われたハーフタイムで上記のように言い切ったそうだ。

 リーダーは結果の全責任をとらねばならない。それと引き換えにメンバーの采配権をもらっているのだから。勝ち負けの責任をリーダーが全部引き受けてくれるという信頼感があれば、メンバーは驚くほど伸び伸びとパフォーマンスを発揮する。

 岡田監督の場合、もう一つ強いこだわりがある。それは選手と綿密なコミュニケーションをとること。岡田監督は自分から降りて行って、積極的に選手とのコミュニケーションを仕掛けていく懐の深さを有している。ときには、冗談を交えながら持ち前の関西弁で自分の本音を選手にぶつけるのが岡田流。

 岡田監督はチームを勝利に導くことを最優先しながら、同時にメンバーの幸せについて考えている。そして、そうした姿勢は強烈な「信念」にまでなっている。

 これこそが人を動かす最大のパワー。日本代表について選手は口々に"仲の良いチームだった"と語る。帰国会見での今野選手や森本選手のモノマネを見ると、本当に良いチームだったということがうかがえる。そして、その中心にいたのは岡田監督。結局いつの世でも、メンバー全員に「このリーダーを勝たせたい」という思いを抱かせるのが、偉大なリーダーの共通点なのかもしれない。



『岡田監督 信念のリーダーシップ』
 著者:児玉 光雄
 出版社:ダイヤモンド社
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