クリエイティブ・ディレクターの箭内道彦氏が、書籍『考える力をつくるノート』のなかで"かっこいい人の理由"を語っています。

 そのかっこいい人のモデルとして登場したのが、「永ちゃん」こと矢沢永吉。

 箭内氏が永ちゃんのプロモーションビデオやCDジャケットの制作を担当した時のこと。初めて企画を持っていき永ちゃんに説明すると、「箭内さんすみません。この企画、矢沢まったく理解できません」と言われてしまったそうです。

 箭内氏はつい「しまった、作り直してきます」と言いそうになったのですが、そこで永ちゃんは「これ、理解できないから矢沢にやらせてください」と言うのです。永ちゃんは「わかることはやりたくないんだ」と。

 箭内氏はすごいなと思うと同時に、まったくわからないことを永ちゃんにやってもらうわけですから、自分が全部責任をとって良いものにしないといけないと思ったそうです。「絶対に矢沢さんがかっこ良く見えるように、オレが死んでもがんばらねば」とも。

 永ちゃんは、初対面の箭内氏の名前を自分を矢沢と呼ぶのと同じくらいの数呼ぶのです。「矢沢はこう思うんです。どう思いますか箭内さん」と。あの永ちゃんが自分の名前を、ちゃんと目を見て1分間に2〜3回くらいのペースで呼び続けるのです。箭内氏は、「この人のためならタダでもいいから働きたい」と思ってしまったそうです。

 さらに打ち合わせのあとで、「箭内さん、矢沢の船に乗ってくださいますか」って言う永ちゃん。「そんなこと言われたら、ちょっと断れないですよね......」と返すと、「うれしいな。箭内さんが乗ってくれるなら、ボイラー室で汗かきます」と返しんだとか。

 こういった一つひとつの言葉が、永ちゃんの味方やファンを増やすのではないでしょうか。

 そのときの打ち合わせでは、1時間のうち58分は永ちゃんが話したそうです。途中で永ちゃんもそのことに気付いて「箭内さんすみません。今、矢沢だけがしゃべっちゃっています」と言い、でも、「箭内さん、今日はそうさせてください」と言うのです。「今、たぶん箭内さんの頭の中にいろいろなアイデアが浮かんでいるはずです。でも、今はそれを言わなくてもいいです」と。「家に帰ってそれをメモして、次に会うときに矢沢のところに持ってきてください。それを矢沢は見ないでオッケーします」。......この永ちゃんの言葉にしびれない人はいないのではないでしょうか。

 とにかく永ちゃんの人との向き合い方のかっこよさに、箭内氏は魅了されたのです。



『すぐに実行できるのに誰も教えてくれなかった考える力をつくるノート 』
 著者:
 出版社:講談社
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