必殺仕分人こと蓮舫議員がトップ当選を果たしたので、今年も事業仕分けは大々的に行われるものと思われるが、一度前例のあるものに対するお役人の対応は素早い。
よほど不屈の意志を持って政治主導で行わないと、役人の予算編成シナリオの一部として組み込まれてしまう可能性が大なのだ。

予算編成の世界には、かつて財務省(旧大蔵省)がゼロ査定を出した予算を、省庁幹部の折衝で復活させる「復活折衝」という制度が存在していた。

局長折衝、事務次官折衝、政務次官折衝、大臣折衝など細かく分けられていて、それぞれの格式に応じて、予算が復活することになっていた。

しかし、その内容は事前に打ち合わせされ、この事業は次官折衝で復活、この事業は大臣折衝とすぺてシナリオが組まれて、実際の次官なり大臣は役者よろしく課せられた演技をこなすだけでよかった。完全な官主導の予算編成シナリオだったのである。

事業仕分けが予算編成事務の一部となるのであれば、各省予算担当者及び財務省はまちがいなくシナリオを組んでくる。つまり継続事業なり新規事業なりについて、事業仕分けの対象になるか、ならないかを行政刷新相に意向打診するというセレモニーが加わる。

場合によっては緊急性の高くない事業にあえて増額要求を出すことで、事業仕分けの生贄にしておいて、本命事業のほうを通すという作戦もあるだろう。

かくして、事業仕分けは毎年のセレモニーと化していく。事業仕分けが革新的だったのは、予算編成の現場の一部をインターネット生中継で国民に公開したことにある。しかし、セレモニー化してしまうのであれば、本当の事業仕分けにはほど遠い存在になってしまう。

今必要なのは、政策―予算―事業―独立行政法人―業界という一連の金の流れの「見える化」であろう。天下り官僚の高額報酬ばかりが叩かれているが、一連の金の流れの中でムダを省き、真に公益事業としての正しいあり方を模索する政治主導の「見える化」こそ、求められよう。

また、その事業がどれだけ雇用創出を果たしているかも評価しなければならない。

東京都選挙区でトップ当選を果たした蓮舫議員の手腕が問われるところである。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)

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