皆様は三連休をどのように過ごしただろうか。当紙記者はBBQや友人との呑み会などに勤しんだ。梅雨はもう開けたのだろう。本日も快晴なり。熱くなればなるほど夜は怪談が語られる。夏は妖怪の季節である。

 水木イズム第五十九回。前回は超メジャー妖怪「竜」に関する講釈をさせていただいた。今回はゲゲゲの女房でもゲゲゲの鬼太郎の連載が始まったということでゲゲゲ一味を取り上げるとしよう。そんな今回紹介するブロンズ像はこちら。

 妖怪アパートの管理人「砂かけ婆」である。以前に取り上げた「子なき爺」とニコイチで描かれることも多いゲゲゲ一味の知恵袋的存在だ。主に子なき爺がボケで、砂かけ婆がツッコミの役割を果たしていることが多い。

 ゲゲゲの鬼太郎においては好物は笹の葉とされている。砂のコレクションを持っている設定などもあり、なかなかに濃ゆいキャラクターであることは言うまでもないだろう。しかし、伝承上の砂かけ婆がどのような実態を持っているのかは余り知られていない。

 この砂かけ婆は、文字通り砂をかけてくる妖怪である。何もないところから突然砂がかけられるのだ。投げつけられることもあれば、空からパラパラと降ってくることもある。その正体は砂かけ祭りから来ているのではと見られることもあるが、鳥の身体に付着した砂が落ちてきたのではといわれることもある。

 兵庫県尼崎市や西宮市では竹藪に住まう狸の仕業だとされることもあるそうだ。このあたりがゲゲゲ一味の砂かけ婆の好物が笹の葉である所以かもしれない。しかし、その真相は水木しげる先生ぞ知るというものである。

 ちなみにであるが、この妖怪、なんと姿を現さないのである。どの伝承においても姿を現すことがない。しかし、何故か婆の名が付けられているのは不思議というものだ。とはいえ、妖怪にはその現象だけが行われ、実際は姿を見せないものは多数或る。姿がないというのは実はそこまで驚くほどのものではないのだ。

 それが妖怪というものなのである。妖怪とは事象なのだ。しかし、妖怪の言葉の意味が変遷し、今ではキャラクターでなければいけない風潮が文化に根付いている。姿がないではすまされないのだ。

 水木しげる先生が居られなければ、姿を与えられない妖怪たちも多数居た。稀代の妖怪絵師の手によって姿を与えられた妖怪たちは、現代でも人びとの心を掴む力を持っている。妖怪文化の確立のためには優れた妖怪絵師の力が必要だ。

 ここは義務教育の科目に妖怪学の項目追加の他、美術に妖怪画製作の項目を入れ込む必要がありそうだ。


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水木イズム バックナンバー
第五十四回 「川うその化け物」
第五十五回 「天井なめ」
第五十六回 「閻魔大王」
第五十七回 「見上げ入道」
第五十八回 「竜」