ゲーム機の「左に十字キー、右にボタン」が生み出された瞬間

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 みんなが大好きなゲーム。現在は任天堂の「Wii」や「ニンテンドーDS」、ソニーの「プレイステーション3」などが人気だが、歴史をふり返ってみると「ファミリーコンピューター」(任天堂)や「メガドライブ」(セガ)といった据え置きタイプから「ゲームボーイ」(任天堂)、「ワンダースワン」(バンダイ)などの携帯タイプまで、様々な種類のゲーム機が生み出されてきた。

 そんな日本のテレビゲーム業界を率いてきたのは何といっても任天堂だろう。
 数々の玩具やゲームを生み出し、今や日本を代表する企業であるわけだが、その任天堂では、新しい遊びを生み出すためのある思想がDNAとして受け継がれているという。

 「枯れた技術の水平思考」

 これがまさしく任天堂に伝わる“技術競争から一歩下がって、全体を俯瞰し、本質を発見する思想”だ。
 そして、この言葉を作った人こそ、開発部に1965年から1996年まで籍を置き、ウルトラハンドや光線銃など数々のヒット玩具を開発、ゲーム&ウォッチやゲームボーイを生み出した故・横井軍平氏である。

 両手で持ち左に十字キー、右にボタン。そんな携帯ゲームの原型となったのが「ゲーム&ウォッチ」。このキー配列のアイデアは、横井氏が新幹線の中で拾ってきたものであったという。中年サラリーマンが座りながら電卓で遊んでいる姿を見て、ふと気付いたものだった。

 サラリーマンが人目につかずに、さり気なく遊べるもの―横井が注目したのが姿勢だ。人間は座ったとき、自然に前に手を組む。その姿勢で遊ぶとなると、親指で操作するしかない。両手で持ち左に十字キー、右にボタン。このボタンの配列は“隠して遊ぶ”ためにデザインされたものである。

 今でも電車の中で「ニンテンドーDS」や「PSP」で遊ぶサラリーマンをよく見かけるが、なるほど、確かに前かがみになりながら隠すように画面を見ている。それが最もプレイしやすい姿勢なのだ。

 角川書店から出版されている『ゲームの父・横井軍平伝』(牧野武文/著)は横井氏の人生を追いながら、画期的な製品を生み出す発想術がつづられている。
 斬新なアイデアはどのように生み出されるのか。興味のある人は本書に触れてみて欲しい。
(新刊JP編集部/金井元貴)


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