高所得転職者の入社前調査 〜その知られざる実態〜 第7話
入社志望者の借金は? 素行は? 経歴は本当?
などなど、採用企業が本気でお金をかければ調べられないことはありません。

高額所得者を雇うからこそ、志望者への調査は仔細に渡ります。調査の現場では、果たして何を調べられているのでしょうか?その方法とは一体どのようなものでしょうか?

本シリーズでは、実際にあった入社前調査の実例を、現役探偵が語ります。



■戸籍で人生の経路が、住民票でその人の現在が分かる

前回は家族構成を調べるために戸籍や住民票を使うという話をしたところで終わりましたが、普段皆さんはどれぐらいの頻度でこの二つの公簿に接しているでしょうか。「入籍したとき以来まったく見ていないなあ」なんて人のほうが普通は多いのですが、探偵は年がら年中これらの公簿を眺めています。

戸籍は人生の経路が、住民票はその人の現在が分かります。戸籍謄本さえ手に入れば親兄弟が全て判明するかといえばそんなことはありません。戸籍には「夫婦とその子供」しか載っていないので、結婚すれば親の戸籍から外れて新しい戸籍を作ることになるため、既婚者にこの手は使えません。

そこで、「除籍謄本」という、その人物がひとつ前に載っていた戸籍を調べることになります。一つ一つ紐を手繰り寄せるように辿っていけば、三親等ぐらいまでなら全て調べられます。

役所の窓口では第三者が戸籍や住民票の請求にやってくると、誰が何のために必要なのかと根掘り葉掘り質問され、身分証の提示を求められたりもしますが、請求そのものは自由に出来るという中途半端な状況です。

それほど昔とは言えない時代まで、こんな個人情報の塊ともいうべき書類が誰でもほとんど自由に交付されたのですから、のどかというか無防備というか。現在でも行政ごとに極端な温度差があり、「そんなに簡単な手続きで大丈夫なの?」と自分の立場を忘れて思わずツッコミたくなるような市町村もあります。


■探偵は「差別調査」は行わない

こうして応募者の身内について調べることは可能なのですが、裏社会の住人である探偵でも依頼を断ることがあります。それは「応募者の戸籍を調べて欲しい」「本籍地がどこか知りたい」という直接的な依頼です。

この依頼を受けてしまうと、探偵は免許を取り上げられてしまいます。これは探偵業法で禁止されている「差別調査」に該当する可能性が高いからです。

かつていくつかの日系メーカーでは採用時に差別があったとして裁判にまで発展しました。彼らは「探偵が勝手に調べた」の一点張りで逃げ切りましたが、依頼者にハシゴを外された探偵業界は差別調査にそっぽを向くようになったのです。

普通の探偵社がこの依頼を受けることはまずありません。「なぜ戸籍が必要なんでしょうか?」と質問し、もっともらしいことを言われても全てお断りします。それは正義感でも何でもなく、はした金欲しさに免許を失うリスクを負う理由がないからです。通常の調査でも本籍地が判明しても、普通は依頼者にお伝えすることはありません。


■戸籍の中身を見られないための防衛手段は「転籍」

アカの他人に戸籍の中身を見られることの恐ろしさがお解りいただけたでしょうか。それでも防衛手段はあります。

それは「転籍」といって、本籍地を変更することです。実際に引っ越さなくてもよいので住民票の異動よりも簡単です。本籍地のある街の役所に行って「転籍したいんですけど」と申し入れればOK。転籍先を遠い都市にする必要は全くありません。

転籍すれば「現在事項」しか掲載されませんので、離婚歴のある人は見た目がキレイな戸籍に早変わりするメリットも。3回ほど転籍しておけば、一般的な雇用調査のコストは超えられます。

また、役所に問い合わせれば、直近の数ヶ月間で自分の戸籍を請求した人間がいるかどうかも教えてくれますので、もし調査された形跡があれば容赦なくその人間を法的に追及したほうがいいですよ。


■著者プロフィール
木島球六(きじま・きゅうろく)(仮名)
大学卒業後、某酒造系メーカーに就職。営業マンとしてそこそこの実績をあげていたが、だいぶ仕事に飽き始めていたところ、ある日ポストに入っていた「探偵募集」のチラシが目に入る。興味本位で探偵事務所を訪問してから早10年。今では事務所で一番のベテランとなっている。年間250本の調査依頼をこなす傍ら、採用責任者として年間50人以上の探偵志望者の面接も行っている。



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