第10回文学フリマにおいて、5時間で1400冊の電子書籍を売り上げるという結果を残した、米光一成率いる「電子書籍部」が、初の〈電書フリマ〉に挑戦する。電子書籍のみの販売を行う機会というのがまず珍しいが、開催形態も独特である。東京都渋谷区のカフェが会場となる。そこにやって来た客がPCやiPad、キンドルなどの電子端末で作品を試し読みしながら作品を購入するという形式で、カフェの座席を予約することも可能だ(詳しくは『電子書籍部〜未来のテキスト』http://d.hatena.ne.jp/mirai-contents/20100708/1278606958を参照のこと)。
 イベントのキャッチフレーズは「デジタルでバーチャルな電書(電子書籍)を、アナログでリアルな対面で販売します」。未来のメディアということで注目を集めている電子書籍だが、それを使って「何をできるか」という点については、従来の紙書籍と一線を画す提案はまだなされていない。作家の瀬名秀明、桜坂洋らは「AiR」http://electricbook.co.jp/を6月に手弁当で発刊し、電子書籍媒体が雑誌・アンソロジー形式の読物とも相性がいいことを証明した。こうしたボトムアップの運動、作り手の遊び心から発した試みが繰り返される中から、新しい「使い方」が見出されることに期待したい。17日の電書フリマには、作家の長嶋有、歌人の枡野浩一、漫画家のうめらも出展をする(筆者もおずおずと参加)。また、同日同時刻に京都でも電書フリマhttp://ameblo.jp/hitasura-kikaku/entry-10580866464.htmlが開催されるなど、イベントとしても拡散が始まっている。
(杉江松恋)







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