合コンの時の遅刻が、思わぬ方向に展開することがあります。

 たとえば、自分よりイケてないと思う友人2人と合コンに行くとしましょう。そのとき、女性の脳内では「今日の男性はイケてないな......」という価値判断が下されます。そこに、あなた自身も含まれてしまうのです。そうなると、いくらトークで頑張ってもなかなか成果が出せません。

 これを解決するのは簡単で、30分遅れて合コン会場に姿を見せればいいのです。「今日はイケてないな......」という価値判断は、友人に対してだけ下されます。そして、30分ほど経過し女性陣がこの事実を受け入れたところに、あなたの登場です。すると、友人2人が作り上げてくれた美の基準に照らし、あなたは「イケてる」と認知してもらえるのです。

 こうアドバイスしてくれるのは、医学博士の吉田たかよし氏です。人間の脳は優秀ですが、一度に処理できる情報量には限りがあります。脳は、情報をすべてまとめて処理するのではなく、一つひとつ順番に処理する方法を採用します。ただし、後から新たに情報が入ってくると、先に処理した情報を修正しなければなりません。これが「係留と調整」と呼ばれるプロセスです。

 係留とは、本来はロープを使って船を杭に繋ぎとめておくことですが、人間の判断もこれによく似ているのです。先に知った情報が判断の基準となる杭の役割をします。先ほどの合コンの例でいえば、「友人2人」が基準の杭となるのです。その後、あなたを判断するときに、基準の「友人2人」と比べて「いいかも」と思うのです。

 もちろん、利口な人であれば友人2人をみた後でも、あなたへの判断を変えない人もいます。しかし、驚くことにこの場合でさえも、脳はいったん友人2人という基準を受け入れた上で、自分の感覚を修正し直していることが、認知心理学の研究から明らかになっているのです。どんな人でも「係留と調整」を繰り返しているのです。

 ちなみに、金銭感覚よりも「イケてる」「イケてない」といった価値判断の方が、「係留」の効果はより強く働くことがわかっています。なぜなら、金銭は数字という客観性の高い尺度に置き換えることができるので、思考力によって「調整」を後押しすることができます。これに対し「イケてる」「イケてない」はもっぱら主観にゆだねられるので、思考力は役に立たず「調整」が容易ではないのです。

 脳科学の「係留と調整」はとても興味深いもの。とはいっても合コンでの遅刻はマナー違反。友人の信用を失わないように、やはりここはトークで勝負すべきか悩ましいところです。



『優しかった彼女をなぜ鬼嫁に感じるか』
 著者:吉田 たかよし
 出版社:角川書店
 >>元の記事を見る





■ 関連記事
「あえてのナンバー2」という生き方〜『会社に負けない喧嘩の仕方』(2010年7月2日06:29)
恋人の携帯メールをチェックするのは常識!?〜『常識人の99%は非常識である 』(2010年7月1日06:33)
“自分探し”よりも“師匠”を探すべし〜『最強の人生指南書』(2010年6月30日11:13)


■配信元
WEB本の雑誌