高所得転職者の入社前調査 〜その知られざる実態〜 第5話
雇用調査の王道「聞き込み」の裏舞台

入社志望者の借金は? 素行は? 経歴は本当?
などなど、採用企業が本気でお金をかければ調べられないことはありません。

高額所得者を雇うからこそ、志望者への調査は仔細に渡ります。調査の現場では、果たして何を調べられているのでしょうか?その方法とは一体どのようなものでしょうか?

本シリーズでは、実際にあった入社前調査の実例を、現役探偵が語ります。

雇用調査の王道ともいえる「聞き込み」
このコーナーも5回目となり、何となく雇用調査の舞台裏をつかみかけてきたのではないでしょうか。今回は雇用調査の王道ともいえる「聞き込み」についてお話したいと思います。

採用候補者の評判を調べるためには、自宅周辺と現勤務先に訊いて回るのが手っ取り早いのですが、「ワタシ探偵なんですけど、隣の住人どんな人?」とバレバレの調査をしてしまっては元も子もありません。どうにかバレずに核心を突きたいところですが、現代社会は個人情報保護真っ盛りのため、必ずと言っていいほど調査は毎回難航します。

そこで探偵側は「人柄を知りたいなら尾行に限りますよ」と採用担当者に提案するのですが、尾行は調査費用が10倍高いので、「ざっくりでいいから聞き込みで」という方がほとんどです。こうなればもうやるしか道はありません。


日常生活でも意外と使える「三取話法」
チェック項目はオーダーにより毎回違いますが、最も多い依頼は勤怠と金銭絡みです。しかし聞き込みはこちらが顔をさらす必要があるリスクの高い調査なので、バレないためのポイントをきっちり押さえておかないといけません。そのポイントとは次の5つ。

・遠いところから聞いていく
・役柄になりきる
・話の辻褄を合わせる
・相手の心情に訴える
・口止めをする

文字数の都合上、ポイントごとの解説は省きますが、何となく雰囲気を掴んでいただければと思います。

また、候補者の自宅周辺で聞き込みをする際には「三取話法」という方法を使います。これは候補者の自宅をA、両隣をB、Cとすると、B宅にはAについて7割、Cについて3割聞きます。同様にC宅にはA3割、B7割。さらにはA本人宅も訪問し、B3割、C7割で聞きます。

当然知りたいのはAのことだけなのですが、Aの家にだけ誰も来なかったのに両隣がAのことを訊かれたら、近所付き合いがあった場合すぐに発覚してしまいます。したがって完全に無駄打ちとわかっていながら探偵は敢えて顔バレのリスクを冒してAの家を訪ねるわけです。

この方法を使うと「結局誰のことを聞きにきたのか解らない」という利点があります。これは日常生活でも意外と使えるテクニックなので、情報収集の際には参考にしてみてください。

そして直接の聞き込み以外の調査としていかにも現代的なのが、ネット上での風評調査です。あることないこと書かれてしまうのがネットの怖さですが、時には「2ちゃんねる」の中にすら驚愕の真実が含まれていることもあるので侮れません。


ネットで自分の名前を検索してみてください
探偵はあくまで「こういうことが書いてありましたよ」と報告するだけです。その場合、判別がつきにくい同姓同名の人物は含めますが、よくある中学校の陸上記録などは当然除外し、すでに存在しないサイトがヒットした場合は、キャッシュからサルベージして報告書に貼り付けます。

Yahoo!とGoogleを含め、だいたい10前後の検索サイトを調べますが、探偵の調査の場合は1サイトにつき画像検索も含め50ページは見ていきます。

悪しき風評というのは、その人の生き方の結果生まれたものですから、そう簡単に粉飾することは不可能ですが、アナタもこれを読み終わったらすぐにネットで自分の名前を検索してみてください。もし悪評を見つけたなら、転職活動を開始する前にサイト主にきっちり削除依頼を出しておきましょう。

■著者プロフィール
木島球六(きじま・きゅうろく)(仮名)
大学卒業後、某酒造系メーカーに就職。営業マンとしてそこそこの実績をあげていたが、だいぶ仕事に飽き始めていたところ、ある日ポストに入っていた「探偵募集」のチラシが目に入る。興味本位で探偵事務所を訪問してから早10年。今では事務所で一番のベテランとなっている。年間250本の調査依頼をこなす傍ら、採用責任者として年間50人以上の探偵志望者の面接も行っている。


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