ビジネス書業界の“現在”を『ビジネス本作家の値打ち』著者・水野俊哉さんに聞く(1)

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 史上最強のビジネス本ガイドにして、ビジネス書を“評する”本が扶桑社から出版された。その名も『ビジネス本作家の値打ち』だ。

 名だたるビジネス書作家の書籍を点数で評価していくという前代未聞の本に挑戦したのは、普段からビジネス書を読み漁り、『「ビジネス書」のトリセツ』(徳間書店)を執筆したこともある水野俊哉さん。

 しっかりとした本には高い評価を、内容が詰まっていない本には低評価を、という姿勢を貫いている本書はビジネス書好きなら納得の採点がなされているだろう。

 今回はそんな水野さんに、どうして本書を執筆したのかから現在のビジネス書業界の“是正すべき風習”まで語ってもらった。
(新刊JP編集部/金井元貴)

◇   ◇   ◇

―本書『ビジネス本作家の値打ち』は、ビジネス書作家46人の各書籍を1冊ずつ採点していくという、福田和也さんの『作家の値うち』のいわばビジネス書バージョンともいえる1冊です。まずビジネス書を採点するということをテーマにしたきっかけから教えて頂けますか?

水野「これはあとがきにも書いてあるんですが、2008年の11月に講談社さんから『お金持ちになるマネー本厳選50冊』という本を出版したんですね。そのとき、その本の中で扶桑社さんから出ている投資の本が要注意だということを書いたら、今回担当編集をして下さっている藤田美菜子さんから『面白いですね』と直接連絡を頂いて、週刊誌の『SPA!』で書評の連載を持たせて頂いたりしたんです。
それが縁になってこの本が出来るんですが、実は構想は1年くらい前からあって、『作家の値うち』でやっていることをビジネス書でも出来たら面白いんじゃないかという話が藤田さんからあがっていたんですが、どういう風にやるのかという具体的なところが決まらず流れていたんですね。そして、1年くらい前に『「ビジネス書」のトリセツ』という本が出たあとくらいに、藤田さんから『見えました!』という変なメールが来て(笑)。こういう風にやりましょう、と。最初は勝間和代さんみたいな大御所や有名な方からはじめていって、いけそうだったらどんどんやっていきましょうという話で、気がつけば46人も採点していましたね」

―この本で採点されているビジネス書は全部読んだわけですね。

水野「そうです、買って読みました(笑)。最初は全部買うという発想はなくて、もともとビジネス書は読んでいたから、そこで何冊か代表的な本を、という話だったんですが、やっていくうちにどんどん勢いがついてきて、全作採点しよう!と(笑)。だから、今、家の本棚は大型書店のビジネス書コーナーみたくなっていますよ」

―でも、こうして読んでみると個性豊かですよね。

水野「この本で取り上げているメンバーは個性豊かですね。本当はもう少し候補の方がいたんですが、失礼な言い方ですけど、キャラが立っていなくて取り上げられなかった方もいるんですよ」

―それなりに実績を残されている方は、ちゃんとキャラ立ちしていますよね。

水野「そうですね。この本の中では、読者の方が読んで面白いと思えるように、多少面白おかしく書かせて頂いたところもあるんですが、でも書かれるだけのキャラ、個性、芸があるんですね。だから、面白おかしく書かれた方も寛容な心で読んで欲しいです。広い心で(笑)」

―1年ほど前に『「ビジネス書」のトリセツ』でインタビューをしたとき、ビジネス書業界の中に馴れ合いのようなものがあるとご指摘されていましたが、その状況は1年経って変化がありました?

水野「あまり変わっていないと思います。この本はやはりビジネス書の出版社ではできなかった内容ですよね。例えばD社さんとか、T社さんとか、P社さんとか(笑)。それはビジネス書著者みんな、同じ版元さんから本を出版しているからですが、そうなるとその人の批判が出来なくなってしまうんですよね。
それにビジネス書の場合って、小説みたく評論されるものではないし、賞があって「審査」されることも少ない。1作1作厳しい評価にさらされることがあまりないですよね。みんなで盛り上げる機運が高まっているというか、素晴らしいとか役に立つとか、中には実際にそう思っていない人もいるかも知れないのに、激賞したりするわけじゃないですか(笑)。そういうのが馴れ合いと言うのであれば、そこはいいところもであり、悪いところでもあるかなと。確かに、あえて批判することもないのかも知れないけど、むしろ全部が褒める意見という状況も気持ち悪いですよね」

―おっしゃる通りだと思います。本の帯に同じような言葉が並んでいたりとかしますしね。本書を読んでいて「確かに」と思ったのが、1作、2作目は評価がとても高いのに、だんだん尻すぼみになっていく作家が多いことでした。

水野「簡単に言うとネタ切れするんですよね。大前研一さんや橘玲さんのような、一冊ごとに違ったテーマ、切り口で書いていける人もいますが、そう多くはいません。
だから、一度売れたからといってその人に何度もオファーがきたりして、何度も書いているとネタは尽きます。ノート術とか情報整理術とか、同じテーマで何冊も書けるわけがないですし、普通は1作目に全力投球しますから、1作目が一番評価高くなる人が多いのも頷けますよね」

―ビジネス書を読んでいると、「これ、前と同じこと言ってるじゃん」という風に気付くことがやたら多くありますね。

水野「そうそう、あ、この話、3回目だ!って(笑)。まあでも、自分も含めて、読者の方は内容忘れますからね。今回は同じ作家の本をひたすら読んでいくという形でやったので、そういうことが気付きやすかったのかも知れません。普通は半年前に読んだ本の内容は、そんなに覚えていないものですよ(笑)」

(この続きは6月24日に配信予定です)


◆イベントのお知らせ
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 〜カツマーから勉強会ブームまでビジネス本シーンをめった斬り!
日時:7月4日 17:00開場/ 18:00開演/21:30終演 (予定)
場所:TOKYO CULTURE CULTURE
予約5000円、当日6000円(飲食代別途必要)
詳細はこちらから
http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_100614203030_1.htm


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