ノンフィクション好きには「冒険もの」「旅もの」好きが多い。最近流行りの高野秀行も宮田珠己もそのジャンルだし、古く言えば『さまよえる湖』やら『コン・ティキ号探検記』など定番は今でも大人気だ。
 さて日本にも素晴らしい冒険家たちはたくさんいたが若林純『謎の探検家菅野力男』(青弓社)はまさに、埋もれた探検家を掘り起こした一冊である。表紙はシャレコウベの山の前に立ち、ひとつを胸に掲げ、ひとつの髪の毛を鷲づかみにする髭もじゃの男の姿。彼こそが菅野力男である。
 著者は写真家だが、古書店で偶然みつけた菅野力男の絵葉書に興味を持ち調査を始めた。菅野には著書も残された資料も少ないが、資金稼ぎのために作られた膨大な絵葉書が市場に出回っている。明治から昭和にかけて世界探検旅行に8回も出かけ、各地にてコスプレの元祖のような写真を撮る。自分を売り込むことに長け、生涯、職業冒険家として生き抜いた。世界を股にかけた日本快男児の雄姿に注目せよ。

(東えりか)







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