“走る小説家”村上春樹が自分自身を語ったエッセーが文庫化

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 『1Q84』(新潮社)の興奮冷めやらぬなか、村上春樹さんの名エッセーが文庫版となって刊行された。

 今回文庫化されたのは、『走ることについて語るときに僕の語ること』。2007年10月に文藝春秋より単行本として出版された一冊だ。

 テーマはタイトルの通り「走ること」。
 村上さんは小説を書く傍らさまざまなマラソンレースに出場する(時にはトライアスロンまで!)、まさに「走る小説家」なのだが、本作ではどうして走ることを続けるのか、走り始めたきっかけなどをつづっている。

 文中で村上さんは「小説を書くことは、フル・マラソンを走るのに似ている」と言う。
 多くのランナーは、自分の目標タイムを設定した上で、その目標に挑むようにして走ってゆく。順位はどうあれ、自らの走りに納得がいくかどうか、誇りが持てるかどうか、それが大事な基準となる。村上さんはそう語った上で以下のように述べる。

 小説家という職業に・・・勝ち負けはない。発売部数や、文学賞や、批評の良し悪しは達成のひとつの目安になるかもしれないが、本質的な問題とは言えない。書いたものが自分の設定した基準に到達できているかいないかというのが何より大事になってくるし、それは簡単には言い訳がきかないことだ。・・・そういう意味では小説を書くことは、フル・マラソンを走るのに似ている。(p25より引用)

 本書には走ることに関するエピソードだけでなく、創作者・村上春樹の思考の秘密や小説家の原点など様々なことが語られている。それも非常に面白い話ばかりなのだが、やはり、読後は走りたくなる。これも村上春樹マジック…と言えるものなのかは分からないが。
(新刊JP編集部/金井元貴)


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