アマゾンの電子書籍「キンドル」に続きアップルからも「iPad」が登場しました。

 この2つのデバイス、一体どちらが優れているのでしょう。誰もが気になるところです。この違いについて、フリージャーナリストの佐々木俊尚氏が、著書『電子書籍の衝撃』のなかで分析しています。

 まずiPadが有利な点を3つ紹介。第1にあげられるのが、汎用機としての魅力です。タブレットはパソコンとケータイに次ぐ3番目のデバイスとして、今後私たちの生活のなかに確固とした存在感を確率していくのではないかと言われています。そんななか、電子ブックしか読めないキンドルのような専門機は不利で、本も読めて映画も見られてウェブも楽しめるiPadのような汎用機は有利だといえます。

 第2にiPadはiPhoneをベースにしていること。iPadのOSは「iPhone OS」。つまり、iPhoneとまったく同じ画面デザインをそのまま拡大しただけ。だからiPhoneのアプリケーションがそのまま動きます。これは強烈な強みです。キンドルのような専門機と違って、さまざまなアプリが動く汎用機を普及させていくためには、たくさんのアプリが用意されなければ利用者を惹きつけられません。この点iPadは、発売の時点ですでに3万点以上もあるiPhoneアプリが全部使えてしまうのです。

 また、iPhoneのユーザーは2009年の夏に世界で3000万台を突破していて、日本でも都心部を中心に広く普及しています。iPadとiPhoneは操作性がまったく同じなので、この膨大な数のiPhoneユーザーにとっては、iPadはすぐにでも使いはじめられる勝手の良い機器に映るでしょう。これは大きなアドバンテージです。

 一方で、iPadにはいくつか不利な点もあります。第1にサイズと重量、バッテリー持続時間などのスペック。標準版のキンドルと比べるとサイズは大きく、約700グラムとかなりの重さです。小柄な日本人女性では書籍がわりにするのは少し重すぎるかもしれません。また、バッテリー持続時間も連続10時間と短く、外出したら常に電池の残りを気にかけていなければなりません。1週間近くもつキンドルとは大きな違いです。

 第2に、バックライト付きの液晶画面であること。イーインクという見た目が紙に近い材質をキンドルが採用しているのに対して、iPadは普通のパソコンと同じフルカラーの液晶になっています。テレビ番組や映画を再生するためには液晶が必要ですが、ブックリーダーとして画面の輝度が高すぎて、目が疲れやすいという問題があります。米経済紙のウォールストリートジャーナルは、「パソコンでさんざん仕事をして目が疲れているのに、さあ休憩しようと本を読もうと思った時に液晶画面を手に取るだろうか?」と否定的な感想を書いています。

 価格はキンドルが約23,000円に対して、iPadは約45,000円と高額です。あなたはこの価格をどう考えますか? 佐々木氏は電子ブックリーダーの戦争の行方を決めるのは、「プラットフォーム」だといいます。

●多くの人気書籍をラインアップできている
●読者が読みたいと思う本、あるいは本人は知らないけど読めばきっと楽しめる本をきちんと送り届けられる
●そうした本をすぐに、しかも簡単な方法で入手できて、その時々に最適なデバイスを使い、気持ちよい環境で本が楽しめるかどうか

 つまり、本を取り巻く環境を、最もよいかたちで提供できるところが最終的には勝つのです。そう考えると、まだまだ電子ブックリーダーの競争ははじまったばかり。数年後にはキンドルもiPadもさまざまな進化を遂げて、まったく別のものになっているかもしれないのですから。



『電子書籍の衝撃』
 著者:佐々木俊尚
 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
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