TBSのスポーツ報道番組「S1」(12日深夜放送分)では、相も変わらず視聴者を欺く同局の姿勢が露呈された。

TBSのスポーツ番組といえば、放送する試合順を容易に入れ替えることができる格闘技で顕著に見られることだが、「この後、○○が登場」と引っ張るだけ引っ張り、その間、何試合もの放送やCMを挟む。

かつては、大晦日の格闘技イベント「Dynamite!!」において、魔裟斗が戦った過去の試合を何のテロップも出さずに放送することで、“今、リアルタイムに行われている”ものと視聴者を錯覚させたこともある。

この日、新聞のラテ欄では、「野村克也の重大発表」と記されていた「S1」だが、番組の後半には、枡田絵理奈アナから「S1ファミリーの野村監督から重大発表です」というアナウンスがあり、CMに突入――。

CM明けには、いよいよ野村氏から何らかの発表がなされるのかと思いきや、その後は、「与野党トップ舌戦 いよいよ選挙モード」と、政治ニュースが流れ、お次は天気予報に。その後も、社会のニュースは続くと、カメラは「S1」スタジオに戻ったが、番組のエンディングとなり、初田啓介アナが「いよいよ明日はですね、野村監督がこのS1に帰ってこられるわけですね」と明日の番組宣伝を行い、番組は終了した。

野村氏が番組に復帰をするということが重大発表だというのなら、「野村監督から重大発表」と表現するのは適切ではない。先月、解離性大動脈瘤のため都内の病院に緊急入院した野村氏の状態が気がかりで、当人より何らかの発表があるものと番組の視聴を決めたファンにとっては、騙されたに等しい放送であった。