W杯開催国は“美貌の宝庫”

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 いよいよワールドカップが開幕した。我らが日本代表は10日に行われたジンバブエ代表ともスコアレスドロー、結局負けっぱなしのまま本戦に突入と、サッカー自体にはさほど興味を持たない野次馬(例えば筆者のような)にとっては、どうにも期待の膨らまない大会となりそうだ。

 ただ、個人的には日本代表の戦果以外には全く無関心かというと、そうでもない。すごいすごいと言われているクリスティアーノ・ロナウドやメッシらのプレーは、観ていても正直どうすごいのかよくわからないが、開催地である南アフリカ共和国には大いに興味がある。
 南アフリカには“世界一刺激的な街”ヨハネスブルグ(W杯を前に治安改善を図ったものの、効果は薄かったようだ)があるし、ケープタウンに関しては、南アフリカの作家・J・M・クッツェーの代表作『恥辱』(早川書房/刊)にこんな文章がある。

 女漁りに心動かされぬまま、一学期は過ごせない。ここはケープタウンだ。美の、美貌の宝庫たる街。

 これは主人公の大学教授であるデヴィット・ラウリーが、自分の講義を受講している女子大生に接近した際の描写なのだが、これを読む限り南アフリカ(ケープタウン)は美貌の女性が数多くいる場所のようだ。
 美貌と暴力の国とはなんとも魅力的ではないか。

 クッツェーに関してさらに述べるなら、『恥辱』の他に、『エリザベス・コステロ』(早川書房/刊)も南アフリカ、ひいては世界の中のアフリカという地域を考えるうえで興味深い。こちらは小説というよりも、主人公のエリザベス・コステロの名を借りた、クッツェー本人の思考の記録といった方が相応しいのだが、アフリカの創作物や学問の話題を通してアフリカの実像が浮かび上がってくる構成になっている。

 クッツェーだけではない。南アフリカにはこの他にも、ベッシー・ヘッドやナディン・ゴーディマーなど、優れた作家を輩出している。
 特にベッシー・ヘッド『力の問題』(學藝書林/刊)には、この国を語るうえで欠かせないアパルトヘイトの狂気、生々しさを感じずにはいられない。

 サッカー日本代表がだらしないからワールドカップなんて観ない、という方。とはいえこういった世界的なイベントは外国文化に関心を持ついい機会である。これを南アフリカの文学に触れてみてはいかがだろうか。
 個人的にはやはり読書などどうでもよくなるほどの、日本代表の大躍進を願わずにはいられないのであるが。
(新刊JP編集部/山田洋介)


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