前回前々回とベストセラー『世界一わかりやすい「速読」の教科書』の著者・斉藤英治先生に、“本当に意味のある速読とは?”をテーマにお話を伺ってきた。特にビジネスにおいて大きな効果が期待できる“速読”だが、斉藤先生によると、“速読”を身につけることで得られる効果はそれだけではないという。
 最終回の今回は、“速読”を身につけることで感じられる仕事以外での効果について語ってもらった。

◇ ◇ ◇

■“速読”を身につけることで様々な効果が期待できる
―速読を始めるのに適した年齢というのはありますか?

斉藤「速読を始めるのには、早いに越したことはありません。私の速読術というのは、自分にとって必要な知識を素早く見つけて吸収し、自分の行動や考えに活かしていくというもの。行動自体も一つのアウトプットと考えると子供のころからそういった情報処理術を覚えておくのはいいことだと思います」

―本書『世界一わかりやすい「速読」の教科書』に付録されていたトレーニング用のCD(倍速で流れる朗読を聴きながらテキストを目で追うというもの)を聞いてみましたが、私は4倍速がやっとで、10倍速にはまったく聞き取れませんでした。トレーニングを積めば誰でも10倍速のスピードを聞き取れるようになるのでしょうか。

斉藤「4倍速を聞き取れるのは大したものですよ。ただ、あのCDは聞き取れるかどうかというのはあまり重要ではありません。聞き取るというよりは、朗読のスピードに乗りながらどれだけ本のイメージを掴めるかということが大事なんです。あくまでも、本の中から自分の求めている情報を素早く見つけることが重要なので、音声はペースメーカーのつもりでやるといいですね。
速読とは言っても最初から終わりまで満遍なく速く読む必要はありません。大事なところを見つけたらゆっくりかみしめながら読めばいいんです。その箇所を探すために速読があると考えてください。素早く自分にとって重要な箇所を見つけ、そこはじっくり読む、そういうギアチェンジができるようになるのが私の速読法です」

―「速読」というと「目」に注意がいきがちですが、そうではなく“速読のトレーニングとは「脳」のトレーニングである”という、本書でのご指摘には納得させられました。速読のトレーニングを通じて脳を鍛えることで、読書以外にはどのような効果が期待できますか。

斉藤「もちろんインターネット上のテキストも速読できますし、新聞もできます。知的労働のほとんどが情報処理だとも言えますので、単にテキストを読むのが速くなるというだけでなく、仕事全体が速くなるでしょう。また、言ってみれば人間自体情報の塊です。だから人間を見る目も養われますし、世の中のことも見えるようになります」

―斉藤先生が今までの人生において影響をうけた本がありましたら、3冊ほどご紹介いただけますでしょううか。

斉藤「まずは竹内均さんの『勉強術・仕事術 私の方法』、これは20数年前に読んですごく感銘を受けました。それから、渡部昇一さんの『知的生活』。これは、どういう風に書斎を作りとか、どういう風に本を読み、とか知的生活の築き方についての本です。こんな風になりたいなあと思いながら読みました。あとは中村天風さんの『研心抄』も大変良かったです。」

―最後になりますが、速読ができるようになりたいと思っている方や、速読に興味がある人にメッセージをいただければと思います。

斉藤「心を豊かにし、仕事を速くし、新しいアイデアを出し、と創造的に人生を築いていく方法として、早く正しい速読法を見つけて実行してほしいと思います。私は40歳を過ぎてから始めましたが、皆さんにはもっと早く始めて欲しいですね。これは先ほども言いましたが、読むときはメリハリをつけて、速読と熟読のギアチェンジをしながら読んでほしいと思います」

■取材後記
 「速読」というと特別な才能を必要とするイメージがあったのだが、斉藤先生の速読法はまちがいなく誰にでもできるものだ。これを身につけることで、一つ一つの仕事にかかる時間は短縮され、ひいては全体の作業時間も短くなるだろう。
 年々スピード感を増すビジネスシーンで、時間に追われないためにも、是非とも早いうちに身につけておきたい能力だと思った。
(取材/記事・山田洋介)

(第1回 「速読学校に通ったが、実用性のある速読は身につかなかった」 を読む)
(第2回 “速読”を身につけることで様々な効果が期待できる を読む)

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