――ジャケットで小松美羽さんが十二支を描かれているのは、どのような理由からですか?

山崎:いろんな意味で「時」を表すということで十二支がいいだろうと。それに、十二支みんなに学生服を着せちゃおうと。「青春」を表したつもりですが、安易な発想ですよね(笑)。小松美羽は、前回の「Bad Friends」でたまたま発掘したんですよ。彼女は版画家なんだけど、とんでもないおどろおどろしい絵を描く。これでアルバムのジャケットを作ったら、ちょっと気味悪がって買ってもらえない。それで「他に何か描けないの?」と聞いたら、「子供向けに描いたのがあるんですけど…」と言って、カバンから出てきたものが、まるで別人の描いた絵。「面白いね、これで描いてみない?」って。あれが彼女のデビューなんですよ。とても美人な子なので、その後“美しすぎるなんとか”シリーズに取り上げられて、あれよという間にあちこちに載るようになっちゃった。でも、本人はそういうことで浮かれるような子じゃない、本当に将来が楽しみな人です。

――今回収録されている13曲の中で、山崎さんが特に印象に残っている曲はありますか?

山崎:例えば、スターダスト・レビューには是非「また逢う日まで」を歌って欲しいと。声もすごくパワーがあるじゃないですか。もう一発でスターダスト・レビューと分かる声。非常に大人のグループだし、きっと尾崎紀世彦が歌った「また逢う日まで」とは全く違うものを作ってくれるんじゃないかな?と思ったら、いやもう期待通りでしたね。ゴスペラーズは、本当に狙い通り。やっぱりすごいグループだなと思いました。画期的という意味では「宇宙戦艦ヤマト」をア・カペラでやったこと。たまたまRAG FAIRとINSPiが「ハモネプ」出身で同じ事務所ということで、「じゃあ合併号で作ろうよ」と一瞬で決まったんですけど、ア・カペラでどう蘇るか楽しみでしたね。

――各アーティストに、山崎さんの方からリクエストされたことはありますか?

山崎:選曲では結構、粘りましたね。例えば、ゴスペラーズには絶対に「あの鐘を鳴らすのはあなた」は歌って欲しい。もう一曲は「他に何やりたいですか?」って、向こうから色々リクエストが上がった中で「さらば涙~」があった。「おぉ!それいいですよね、頂き。」みたいな(笑)。こちらもリクエストするけど、向こうからも色々返ってきた。RAG FAIRには、絶対に山本リンダの「狙いうち」をやってくださいと(笑)。リクエストとしては、ちょっと強行にお願いしましたね。今回が1番幅広く、いわゆるヒット曲を取り上げたなと思っているんですけど、「青春時代」は1枚目、2枚目で、サウンドの面でどうやっても新しくならない感じがすごくしてたんですよ。森田公一とトップギャランがやった「青春時代」って、染み込みすぎちゃってるんですよね。「どうやったら新しく、違うように聴こえるかな?」と。今回「『青春時代』をやってよ」と言っても、なかなかウンと言ってもらえなかった。その中でAJIが「じゃあ、やってみます!」って。やっぱりア・カペラにすると全然違うんですよね。時代の匂いを取り払うという主旨の企画としては、成功したなと思っています。