不況を反映して撤退する企業、新卒採用の絞り込みなど、働く人にとってはまだまだ暗いニュースが目につきます。しかし、不況の続く今だからこそ、企業のあり方を見直してみるべきなのかもしれません。

 「利益を最優先に考え、社員や協力企業、そしてお客さまの幸せ作りを忘れている大手企業経営者が多いように思えてならない」と指摘するのは、これまでに6,300社以上の会社を見続けてきた法政大学大学院教授の坂本光司さん。その坂本さんの著書『ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社』には、社員数が最大でも30人ぐらいの小さな会社ばかりが紹介されています。その会社それぞれが、「奉仕を先に、利をあとに...」という精神で、ぬくもりのある製品づくり、愛のあるサービスの提供、さらには弱者への思いやりに満ちた心に響くいい仕事をしている会社ばかりなのです。

 例えば、「高齢社」は、名前の通り高齢者が勤務する派遣会社。社長の上田研二氏は自らも高齢者であり、パーキンソン病を患いながらも「高齢者に働く場所と生きがいを届けたい」と考えています。派遣登録スタッフ数は現在約350人で全員が60歳以上、最高年齢は79歳。社内スタッフは役員が3名、常駐スタッフが3名、週1〜4日勤務の人が9名で全員が正社員。勤務時間は本人の都合で選ぶことができ、経常利益の30%を社員と登録スタッフに還元するという完全な「社員中心主義」を貫いています。上田社長が目指すのは、会社を大きくすることでも、利益でもなく、誰もが75歳くらいまでイキイキと働ける社会作りです。

 ほかにも、
・40年以上早朝から行列がとぎれない「幻のようかん」をつくる「小ざさ」(東京・吉祥寺)
・「点字付きペットボトル再生名刺」1枚につき1円を日本盲導犬協会等へ寄付する"日本一の名刺屋"「丸吉日新堂印刷」(北海道・札幌)
・社長みずから1億円の借金を抱え、末期がんで生死をさまよいながらも本当に困った人たちに採算度外視で身障者衣料をつくる「ハッピーおがわ」(広島・呉)
・生後7か月で脳障がいになった愛娘を「どうしても救いたい」と、世界から評価される福祉機器をつくる「キシ・エンジニアリング」(島根・出雲)
などが紹介されています。

 これらの会社の共通点は「利益よりも奉仕を先に考え、世のため人のために一生懸命に商品をつくり、サービスを提供している」こと。坂本さん曰く「あたたかい会社には、会社の盛衰を決定づける消費者という名のファンが多く集い、消費者や協力企業に感謝されているので、困ったときは支援者(消費者)が助けてくれる」といいます。

 人はぬくもりを求めています。社員も経営に愛を求めている時代かもしれません。



『ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社』
 著者:坂本 光司
 出版社:ダイヤモンド社
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