人間が老化する本当の理由は?

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 人間に限らず生物全てに平等に訪れるものがある。「死」だ

 どんな生物も、時間が経つにつれて老化しやがて死に至る。
 ところが実はどうして生物は老化をするのか、その根本的な原因が科学の世界では解明されていないのをご存知だろうか。

 1988年、カリフォルニア大学のトマス・ジョンソンとデイヴィッド・フリードマンは、『ジェネティックス』誌上で、ある遺伝子プログラムに関する論文を発表する。
 その内容とは、たった一個の遺伝子を変化させることによって、線虫の寿命を通常より65%も延ばせることを証明したものだった。つまり、「加齢を促す遺伝子プログラム」の発見である。

 しかし、この説は「加齢とはゲノムに遺伝子が蓄積された結果である」という当時の一般通念と対立。多くの研究者から無視されてしまう。

 ところがその発見から数年後、分子生物学者のシンシア・ケニヨンはまたひとつ、線虫の寿命を延ばす遺伝子の存在を発見した。しかも、その寿命延長率は100%。通常の寿命が2〜3週間のシノラブディス・エレガンスという線虫が、なんと6週間も生き延びたのである。
 ここで「加齢の遺伝子スイッチが存在する可能性」は表舞台に立ったのだ。

 こうした動きの一方で、加齢に、そして死にまつわる論争も深まっていく。
 細胞生物学者のレナード・ヘイフリックは1960年代初頭、正常な細胞は50回程度までしか再培養ができないことをつきとめていた。この現象を「複製老化」といい、酵母菌でもヒトの細胞でも、全く同じ現象が起きているのである。
 そのヘイフリックは2002年、「動物の加齢に、遺伝子の指示は要らない」という警告が書かれた意見書を老化研究者たちとともに発行した。前述の「寿命を延ばす遺伝子」を真っ向から批判したのである。

 つまり、わたしたちは矛盾したふたつの理論の前に立っている。
 1つの「加齢は遺伝子スイッチによって制御されている」という考え。もう1つは「加齢は損傷が蓄積された結果にすぎなく、時間がすべてある」という考え。
正しいのはどちらだろうか? それはまだ謎に包まれている。科学はまだ答えを出せていないのだ。

 実はこうした科学で証明できない現象が私たちの身の回りに溢れている。
 『まだ科学で解けない13の謎』(マイケル・ブルックス/著、楡井浩一/訳、草思社/刊)は「死」をはじめ、「セックス」「プラシーボ効果」「自由意志」「暗黒エネルギー」など、興味深い13の謎の「現在」を伝えてくれる。

 読み始めると最後。読了するまでノンストップで読みたくなる、そんな一冊である。
(新刊JP編集部/金井元貴)


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