「同期が自分以外全員昇進した。なんで俺だけ......」
 「仕事のノルマが異様にきつい。同僚はこなせているのに自分にはできない」
 「合コンで全然モテない。毎回、別の人に全部持っていかれてしまう」

 地位、お金、モテなど人間の社会には様々な尺度があるものですが、他人と比べて思わず「自分はなんでこんなに不幸なの」「もうこんな社会にはついていけない」と落胆することはありませんか? どんな分野においてもトップをとれる人も中にはいるかもしれませんが、そんな人はごく一握り。それ以外の人たちは「自分は他人より劣っている。かなわない......」などと行き詰まりを感じていたりするのではないでしょうか?

 他人が作った尺度で行き詰まりを感じるのなら、自分が居心地のよい尺度を作ってしまえばいい――。書籍『幸せの新しいものさし』は、11人の人が発見した「新しいものさし」を紹介しています。

 「売らないでいい。まずはお客様のことを一番に考えてください」

 これは本書に登場する株式会社キーワードの接客アドバイザー・北山節子さんが店の販売スタッフに投げかけた言葉です。

 かつて北山さんがアパレル店員として現場に立った当時、売り場はまさに戦場。ノルマも課せられ、何としてでも達成させなければならないほど厳しい世界だったそうです。そんな日々に耐えられず、ストレスを抱えて職場を辞めていく店員も多かったとか。

 その現状に疑問を抱いていた北山さんが、店のマネージャーを任された際に独自の方法で販売員に指導を行いました。その中のひとつが「ノルマより何より、とにかくお客様のことを考える」ということ。自分の店の商品とお客のニーズが合わなければ、別のお店を紹介したり、販売ノルマのためにお客に無理矢理商品を売りつけたりはしません。もちろんほかにも北山さんの考察や工夫を積み重ねた結果、その店の売り上げはなんと900%も増えたそうです。もともとは「販売員やお客様の幸せ」を考えた「新しいものさし」が、見事に結果を生み出したと言えます。

 「お金をたくさん稼ぐ人」「他人よりもノルマを多くこなす人」「合コンでたくさんモテる人」など「数字を出せる人」が重宝されがちな社会であるのは事実。でも、「お金を稼いでないけど家庭円満な人」「ノルマは多くこなさないけどお客様からの支持率は?1の人」「合コンではモテないけど恋人をとにかく大切にする人」と、数字以外の部分で評価される尺度がもっとあってもいいのではないでしょうか。
 
 「もしもそんな考え方を持った人や企業が増えたなら......」

 ふとそんな社会が来る日が待ち遠しくなる一冊です。



『幸せの新しいものさし 』
 著者:博報堂大学幸せのものさし編集部
 出版社:PHP研究所
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