デビュー作『物乞う仏陀』(文春文庫)から一貫して、アジアの最下層の人々を取材し続ける石井光太。最新作『レンタルチャイルド』(新潮社)の舞台はインドのムンバイ。街に溢れる身体障害者の物乞いたちが、マフィアによって故意に傷つけられた人だという噂を聞きつけ、取材を始めたのは2002年。障害がひどいほど稼ぎが多く、醜いほど人の注目を浴びる世界。女の物乞いには憐れを誘うために、マフィアが赤ん坊を貸し付ける。ストリートチルドレンは徒党をなし、娼婦たちは逃げ惑う。
 インドの経済成長は目覚しい。スラムは排除され近代的なマンションへ変貌し、マフィアは郊外へ排除された。かつて搾取されていた子供たちは青年となり、搾取する側に回っていく。延々と繰り返される悪の連鎖だが、人は生きていかなければならない。読むだけでも痛いノンフィクションだが、目をそむけてはいけない問題だ。
(東えりか)







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