高所得転職者の入社前調査 〜その知られざる実態〜 第1話
探偵が経歴詐称を見抜く方法 〜プチ経歴詐称の甘い罠〜

入社志望者の借金は? 素行は? 経歴は本当?
などなど、採用企業が本気でお金をかければ調べられないことはありません。

高額所得者を雇うからこそ、志望者への調査は仔細に渡ります。調査の現場では、果たして何を調べられているのでしょうか?その方法とは一体どのようなものでしょうか?

本シリーズでは、実際にあった入社前調査の実例を、現役探偵が語ります。


プチ経歴詐称の甘い罠

私が探偵を始めて今年で10年になりますが、リーマンショック以降、一気に増えた調査はズバリ「雇用調査」です。ビジネス環境が容赦なく厳しくなる中、多くの企業が取った手段は「少数精鋭」。玉石混交の100人で100億円を稼ぐより、絞りに絞った30人で30億稼ぐほうがまだマシという、何とも後ろ向きな方法を取ったわけです。

ただ、不景気にも当然メリットはあるわけで、それは求人に対する応募数の超・大幅増。よりどりみどりの人材の中からたった一人を選ぶ最終的な決め手として、「経歴が一番気にいった人」を要求する企業も多いようです。

となると、中には軽い気持ちで「プチ経歴詐称」してしまう人もいるのが世の常です。具体的には「一浪→現役」「留年・退学・除籍→4年で卒業」「無職期間の短縮」が挙げられます。

たった1年ごまかすために、10年分の経歴をねつ造する必要があります。人というものは嘘をつくことは厭わないのに、嘘をつかれることを極端に嫌がります。そこでそんな企業の依頼を受けた探偵の出番がやってくるのです。


企業からの依頼は、メール一本だけ!?

私が3年前からお得意先として担当させていただいている某IT系企業からの依頼は、毎回メール一本のみ。具体的な「経歴の真偽を調べてくれ」というセリフは口が裂けても仰ってくれません。この辺は阿吽の呼吸でやっていますが、一度雑談で訊いた時には、二次面接を通過した際に調査に掛けるのだとか。

メールの本文には応募者の氏名、生年月日、卒業高校、卒業大学、元所属企業名とそれぞれの在籍期間。それらの情報を受け、探偵は約5日間に渡る調査を開始します。

高校・大学の卒業に関する真偽の調査は同時に行います。まず探偵が向かう先は、いわゆる「名簿屋」。そこには「カツラ購入者リスト」から「○○物産本社内線表」に至るまで、ありとあらゆる名簿が揃っています。

その中でもいちばん充実しているのは卒業生名簿。どこの街の名簿屋にも、日本全国の高校・大学の名簿がこれでもかと揃っています。あまり名簿屋の場所や仕組みを話してしまうと、飯の種をひとつ減らしてしまいかねませんので、名簿屋の話はこの辺で・・・。


「○○○○定期便」という郵便は届いているでしょうか…?

続いて向かう先は都内某所。こちらも詳しくは申し上げられませんが、最近皆さんの元に「○○○○定期便」という郵便は届いているでしょうか…?

数年前までは「直調」といって直接学校の就職部や教務課に話を訊きに行ったり、「電調」といって電話で身分を騙り情報を訊き出していましたが、個人情報保護が浸透した結果、現在ではデータ調査が主流となっています。

経歴を詐称する人は、皆さんが思うよりも驚くほど多いのです。軽い気持ちでついた嘘が、1000万円を逃すことにもなりかねませんので、くれぐれも入社までは正直に…。

著者プロフィール
木島球六(きじま・きゅうろく)(仮名)
大学卒業後、某酒造系メーカーに就職。営業マンとしてそこそこの実績をあげていたが、だいぶ仕事に飽き始めていたところ、ある日ポストに入っていた「探偵募集」のチラシが目に入る。興味本位で探偵事務所を訪問してから早10年。今では事務所で一番のベテランとなっている。年間250本の調査依頼をこなす傍ら、採用責任者として年間50人以上の探偵志望者の面接も行っている。


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