10人の社長が語る、経営危機の乗り越え方

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 せっかく採用した人材が、一年ももたずに辞めていってしまう。従業員の定着率の悪い会社は一定の割合で存在するものだ。人を採用するためにはコストがかかるものだし、人の入れ替わりが激しいと企業活動自体の効率も落ちる。

 チタン製品の開発・製造を行っている株式会社昭和(奈良県生駒市)も、かつては従業員がなかなか定着しないという問題を抱えていた。

 同社の社長・高安輝樹さんは当時の状況を「うちのような田舎の中小企業には、若い世代が入社したがらない。給料が特別高いわけでもなく、周囲は年配者ばかりで刺激がないからです」と振り返る。従業員が定着する会社を作っていくためにはどうすればいいのか。高安さんは「納得性」というキーワードを挙げた。

 大企業のように福利厚生が手厚く、十分な企業年金が支給されるのであれば従業員はある程度会社に定着してくれるが、中小企業にはそこまでの労働条件を整備する余裕はない。そんな状況で従業員に「納得」して働いてもらうために、高安さんは企業の情報を徹底的に公開するという手段をとった。
 全ての社員に会社の数字をすべて公開したのである。
 社員が社長や他の役員の報酬、経費の使途や会社の利益配分まで把握したことによって、従業員の定着率の問題は解決されたようだ。また、銀行や取引先からの信頼も高まるという効果もあったという。

 このエピソードは『潰れてたまるか! ピンチをチャンスに変えた10社』(影山惠子/著、屋宮久光/監修、阪急コミュニケーションズ/刊)に収載されているもの。本書にはこの他にも、経営危機を生き延び、社内に生じた重大な問題を解決してきた全10社のエピソードが収載されている。

 どの会社も異なった問題を抱えており、異なったやり方でそれを乗り越えてきているのが面白い。人間の知恵の力の大きさをつくづく感じてしまう。

 「潰れてたまるか!」

 この不況下で、全国の経営者、特に中小企業の経営者は心の中でこう叫んでいることだろう。
 “生き残った者”の声を感じ取るのもよし、自分の会社と似た事例を探すのもよし。多いに活用し、不況に立ち向かう勇気を奮い立たせてほしい一冊だ。
(新刊JP編集部/山田洋介)


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