デビュー作には、その作家の持つ可能性がすべて含まれている。第88回オール讀物新人賞を受賞した柚木麻子の『終点のあの子』(文藝春秋)を読むと、この新人の行く末が楽しみでならなくなる。小田急線沿線の女子高に通う少女たちの生活を描いた連作短編集だが、ひとりひとりの個性が際立ち、いじめや妬み、嫉みが吐き気がするほど具体的。いじめをテーマにした作品は数あれど、いじめられる側の理由をこんなに描写したものはなかったような気がする。
 このなかで私のお気に入りは「ふたりでいるのに無言で読書」。高校のとき、自分とはちがう才能を持つ人に、強烈な嫉妬を覚えたことを思い出す。人の目が気になりだしたのもその頃だ。あの頃持っていた、自分の嫌な部分、汚い部分を思い出し、何度か息を呑んでしまった。
 同年代の少女たちと嘗て少女だった人たちに、是非読んでもらいたい一冊である。
(東えりか)







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