W杯に向けアルプスのティーニュで高地合宿をつづけるフランス代表。26日には、最初のテストマッチとしてコスタリカとの親善試合を控える。

 先週末には中心選手のラサナ・ディアラ(レアル・マドリー)が遺伝性の貧血、“鎌状赤血球症”でW杯欠場を迫られるというショッキングなニュースに揺れたが、これで「選手間の結束が強まった」(DFスキラチ)と災いをプラスに転じるムードがチーム内に高まっているようだ。レキップ紙が報じた。

 DFウィリアム・ギャラス(アーセナル)のケガの回復が微妙だったために合宿には24人を招集していたフランスは、ディアラの離脱で定員の23人に。選手1人をふるい落とす必要もなくなり、よけいなストレスから解放されたことになる。

 そのギャラスは合流して早々の23日、選手のリラックスと親睦を図る目的で行なわれた四輪バギーのレースで、コーナーを曲がる際に転倒するアクシデントに見舞われたが、幸い左手に軽いケガを負っただけで大事には至らず。チームメイトから冷やかしの拍手喝采を浴びて、ムードづくりに一役買った。

 加えて戦術面でも、L・ディアラの離脱でこれまでのダブル・ボランチにこだわらずに済むようになった。ディアラとトゥララン(リヨン)という似たタイプの守備的MFを並べるシステムは、攻撃性を欠くとしてたびたび批判を浴びてきた。

 24日の練習では、従来のダブル・ボランチの上に菱形の攻撃陣形を組む4-2-3-1のシステムから、4-3-3に切り替えたフォーメーションが試された。トゥラランひとりが中盤の底を守り、その上にマルダ(チェルシー)とグルキュフ(ボルドー)を下がり目で起用、アンリ(バルセロナ)をトップに、右にジニャック(トゥールーズ)と左にリベリ(バイエルン)を置く布陣。右サイドを嫌うリベリと左サイドを嫌うアンリの問題も一度にカタがついた。

 ドメネク監督にとっても、外野の意見に屈したという負い目なく、ファンや専門家、選手たちが納得する陣形へと変えるのに成功したことになる。あとは26日のコスタリカ戦でいかに手応えをつかむかにかかる。

 チームの中心となって予選10試合を戦いながら直前で初のW杯出場を逃したL・ディアラにとっては不幸な出来事となったが、チームにとっては予想外の起爆剤にもなりそうだ。