日本のどんなキーパーソンの名前よりもニュースに登場する「女子高生」という言葉。あらゆる分野に対して影響力があるにも関わらず、私達日本人にとっては身近過ぎるためか普段彼女達のことを気にすることはほとんどありません。

ところが、外国から見るとこれほど不思議な人種はないようで、もはやサムライ・芸者と並び「女子高生」は日本を語るには避けられないキーワードとなっているとのこと。この度刊行された「Japanese Schoolgirl CONFIDENTIAL」は「女子高生」が日本のポップカルチャーに影響を与えているか外国人の視点で描かれており、興味深い一冊となっています。

詳細は以下。
スクールガール・コンフィデンシャル :講談社インターナショナル

Japanese Schoolgirl Confidential

この「Japanese Schoolgirl CONFIDENTIAL」は「WIRED」にて、日本のガールズカルチャーおよび女子高校生に注目したコラム「Japanese Schoolgirl Watch」を連載しているKotakuBrian Ashcraft氏とShoko Ueda氏の共著によるもの。

Brian氏はコラムの執筆を通じていかに彼女らが日本のポップカルチャーに影響を与えているかを実感。アニメ、コミック、ゲーム、ファッションなどあらゆるポップカルチャーの分野に影響力を持ちながら、つかみどころのないこのグループに興味を持ち執筆を開始したそうです。

表紙はこんな感じ。


中身はかなりグラフィカルなもの。


目次。ファッション、音楽など8章に分けて「女子高生」と日本のポップカルチャーの関連を解き明かしています。取り上げる内容は「セーラー服の発見」や「携帯電話の発達」、「BL文化」や「萌えの定義」などかなり徹底的な感じ。


1.制服


制服製造の大手株式会社トンボユニフォーム・ミュージアムへの取材をベースに、明治以降の近代化によるセーラー制服の誕生から、20世紀末のブレザー制服の流行までの「女子高生」の重要なファクターである「制服」の変遷を紹介。

セーラー服の生い立ち。右下は超初期の「ブルマ」


ブレザー制服の発達と2009年の文化大使、いわゆる「カワイイ大使」について。ブレザーは女子高生ファッションの幅を大きく拡げたそうです。


2.アイドル


女子高生のポップカルチャーに影響を与え続けている「アイドル」という存在について、戦後の「三人娘」からおニャン子クラブ、そしてモーニング娘・AKB48に連なるアイドルと女子高生の関連を解説。


3.映画


クェンティン・タランティーノ監督の「キル・ビル」で、GOGO夕張を演じた栗山千明が、ハリウッドでのワールドプレミアではドレスではなくGOGO夕張の衣装である制服で登場。彼女へのインタビューを通じて、B級スケバン映画や「ラブ&ポップ」、「バトル・ロワイヤル」など、女子高生をフィーチャーした作品を解説。

青春映画的なものの他にも、ヤクザ映画にインスパイアされた「スケバンもの」も流行しました。


4.消費


年2回開催され、2万人以上を動員する「東京ガールズコレクション」や携帯電話、プリクラなど女子高生が牽引する巨大な市場について紹介。


女子高生を語る上では切っても切れないのに翻訳しにくい「カワイイ」という言葉についても解説されています。


5.雑誌と書籍


雑誌「Egg」の編集者・フォトグラファーの米原康正氏へのインタビューや携帯小説を通じて、メディアが写してきた女子高生の姿を追いかける。


「ラブ&ポップ」「インストール」など女子高生のドラマ性を生かした作品は多く出版されています。


6.アート


カイカイキキの小出茜氏、会田誠氏、澤田知子氏といった、女子高生をモチーフとした作品の多い作家を紹介。


浮世絵的なテイストを持つ会田誠作品。


7.ゲーム


数々のノベルゲームや「涼宮ハルヒの憂鬱」などのライトノベルの挿絵で知られるいとうのいぢ氏のインタビュー。ゲームの「ご褒美」として表示されていた美少女CGから「ときめきメモリアル」などの恋愛シミュレーションの誕生、ゲーム性だけでなくストーリー性も重視したビジュアルノベルへの発展と「萌え」、さらには「乙女ゲー」や格闘ゲームなどあらゆるジャンルのゲームにおける「女子高生」の進出について解説。


「大人向けのゲームであるからといって、そのプレイヤーは大人としてプレーするわけではない」と女子高生という青春のシンボルがもたらすノスタルジーについて説いています。


8.アニメとコミック


「ピーチガール」の作者上田美和氏へのインタビュー。女子高生を読者とする少女マンガ全体やBLコミックや、「スケバン刑事」のようなアクションヒーロー、さらには戦隊モノ・魔法少女モノのエッセンスを取り込んだ「セーラームーン」まで、ジャンルのボーダーをどんどん超えていく「女子高生」の様子を紹介する。


日本人にとって「女子高生」はあまりにも当たり前の存在過ぎて、逆に彼女達が自分達にどういう影響を受けているのか分かりにくくなっているため、こうした外からの視点によって整理された像というのはかなり新鮮で貴重。どのページを読んでも「そういえばここにも女子高生の影響が!」と感じること必至の内容となっています。

出版は講談社インターナショナル、定価1800円で日本のAmazonや書店の洋書コーナーでも入手できます。

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