今年9月17日に全米公開が予定されているマット・デイモン主演のSF映画、「アジャストメント・ビューロー」The Adjustment Bureau の予告編が公開された(http://www.theadjustmentbureau.com/)。監督・脚本は、シナリオライターのジョージ・ノルフィ。これが初監督作だが、同じマット・デイモンの「ボーン・アルティメイタム」「オーシャンズ12」の脚本を担当している。
 原作は、オービット・サイエンス・フィクション1954年9・10月号に分載されたフィリップ・K・ディックの短編、「調整班」The Adjustment Team。邦訳は、故・浅倉久志氏の編訳になるディック短編集『悪夢機械』(新潮文庫)に収録されている。
 ディック短編の映画化は、「トータル・リコール」(原作「追憶売ります」)を筆頭に、「スクリーマーズ」(「変種第二号」)、「クローン」(「にせもの」)、「ペイチェック」(「報酬」)、「マイノリティ・リポート」(「少数報告」)......とたくさんあるが、一番最近の「NEXT ネクスト」(「ゴールデン・マン」)など、原作と共通するのは主人公の名前と立場(予知能力者)だけだったりするから油断はできない。今回の「アジャストメント・ビューロー」も、設定の根本からして原作とはまったく違う。
 原作の「調整班」は、平凡な会社員の男が(調整班スタッフの不手際により)"現実改変工事"の現場を偶然見てしまい、知ってはならない世界の秘密を知る......というディック十八番の現実崩壊サスペンス(シオドア・スタージョン「昨日は月曜日だった」の本歌取りかも)。
 "調整班"から"調整局"に昇格(?)した映画版では、未来の計画を立てる組織が敵役。デイモン扮する主人公(政治家)がバスの中で美しいバレエダンサー(エミリー・ブラント)と偶然出会い、恋に落ちる。だが、本来の"計画"では、二人は出会ってはならないはずだった......というわけで、どうやらラブストーリーが基調らしい。どんな映画に仕上がるのか、今から楽しみだ。ついでに、品切になっている『悪夢機械』の復刊にも期待したい。
(大森望)







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