第10回本格ミステリ大賞が5月17日に発表された。本格ミステリ作家クラブが主催するもので、作家・評論家などから構成されるクラブ員が最終候補作をすべて読んだ上で投票する形式で大賞は決定される。公開で行われる開票式は、公募により選ばれた一般読者も参加が許されるユニークなシステムだ。
 まず小説部門は、歌野晶午『密室殺人ゲーム2.0』(講談社ノベルス)、三津田信三『水魑の如き沈むもの』(原書房)の2作が同時受賞した。歌野の受賞は、『葉桜の季節に君を想うということ』で獲得した第4回以来6年ぶり2度目、三津田は今回が初受賞となる。本格ミステリのジャンルに含まれる作品か否かという論争が予選委員の間で起こり、クラブ員の投票に判断が委ねられたことで注目を集めた綾辻行人『Another』(角川書店)は、1票差で及ばず次点となった。評論・研究部門では、谷口基『戦前戦後異端文学論』(新典社)が小森健太朗『英文学の地下水脈』(東京創元社)を、これも1票の僅差で破って受賞を果たした。
 また今回は、クラブ設立10周年を記念して、2000年から2009年までの10年間に刊行された翻訳ミステリの中から最も優れた本格作品を選ぶ「海外優秀本格ミステリ顕彰」が併せて発表された。21世紀の最初の10年間を代表する作品として選ばれたのは、アメリカの作家ジャック・カーリイの『デス・コレクターズ』(文春文庫)である。
 以上の詳しい選考経過などは、6月15日発売の「ジャーロ」(光文社)に掲載される。
(杉江松恋)







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