浅尾・草野は第1セットから崩れ出すと、第2セットを7?21の大差で落とす。最後は掛け合う声も出なくなっていた

写真拡大 (全2枚)

年中、風の強い新舞子マリンパークには風力発電用に高さ65mの大きな風車がある。効率良く発電するために、常に風向きに合わせ自動的に向きを変えている。ビーチバリヤーは、砂をひとつまみ、指の間から落としながら、風の方向を確認するが、ここでは、この風車を仰ぎ見る。この風車、昨日とはまるっきり逆を向いていた。

昨日の浅尾美和・草野歩は好調であった。浦田・菅山組には1セットを献上するも危なげなく勝ち、アマチュアナンバー1の山田・幅口組には2−0(21−9、21−11)と圧勝。失った1セットも「ワールドツアーでヒントを得たものを試してみたが失敗しただけ」(浅尾)と余裕の発言。準決勝進出は確実、優勝も、と期待されていた。

今日の尾崎・金田戦。「身体が動かなかった」(浅尾)と話すように立ち上がりから動きが鈍い。相手の尾崎・金田も、昨日の不調からは別人のようなパフォーマンスを見せる。尾崎の読みは冴え、金田のジャンプサーブは、草野のお株を奪い、エースを何度も決めている。だが、それ以上に浅尾・草野は自分たちのプレイが出来ていない。エンジンがかからないまま失点を重ね、第1セットを18−21で失ってしまう。それでも本人たち同様、見ている観客にも余裕があった。ここから挽回は可能だと。

しかし、第2セットも調子に乗った尾崎・金田の攻撃に受けにまわると、挽回できないまま失点を重ねていく。「技術的な面、作戦でもまだかみ合わない部分はある」(尾崎)ことが露呈したのか、ミスが止まらない。さらに調子に乗った尾崎・金田の積極性が増していく。互いにかける声も小さくなり、敗戦が決まった。7−21であった。

「こんな負け方をしたことはない」と、この敗戦は2人に大きな影響を与えたようだ。敗戦後、コーチを交えたミーティングは1時間を越え、試合への取り組み、戦う気持ちなど精神面まで及び、さらには練習の内容、意識を変えることも決断した。記者の質問に答える2人には当然、笑顔はなかったが、言葉はしっかりしていた。浅尾は「原因は把握しているので大丈夫」と話し、顔は前を向いている。

昨日までは西高東低の冬型。北よりの強い風が吹いていた。今日、風車が向いていた方向は南。まだ少々冷たかったが夏の風。敗戦に学び決断した2人。浅尾・草野にとっても今日が季節のかわり目となるのか?

【ビーチバレーツアー大日本印章オープン/2日目】
予選A組マッチ10
浅尾・草野 0(18-21,7-21)2 尾崎・金田

(取材・文=小崎仁久、撮影:胡多巻)

■関連リンク
写真ギャラリー/ビーチバレー − livedoor スポーツ