ヤフー・ジャパンのトップページに掲載されているニューストピックスの見出しは、どれも全角13文字相当でつけられているのをご存じでしょうか? 

 厳密にいうと半角英数を0.5文字とカウントして、13.5文字までが許されています。この見出しは、報道機関が配信してきた記事の見出しとは違って、トピックス編集部が独自につけています。

●窃盗軽トラで山中4年快適生活(08年10月15日)
●部下ほめる 仲悪ければ逆効果(08年10月20日)
●朝青エルボー 理事長あきれ顔(09年7月15日)

「それ、もっと知りたい」「一体、何があったんだ?」

 見出しだけで、だいたいの内容が想像つきますが、さらにその先が気になるような言葉で構成されています。13文字という限られた文字数のなかで見出しをつけようとした場合、無駄な要素はどうしても省かなければなりません。「このニュースの"価値"を一言で表現するとどうなるのか?」と、編集部員は日々訓練しているのです。また、京都大学大学院の研究によると、「一度に知覚される範囲は9〜13文字」であるという知見が報告されています。13文字という文字数は、目を動かさずに見出しが読めるという理由があるのです。

 書籍『ヤフー・トピックスの作り方』によると、ヤフー編集部では、見出しをつける時に事実をいかに間違いなく、コンパクトに伝えるのかを考えているそうです。情緒的な表現は必要ありませんし、驚きを盛り込む表現も必要ありません。それでもなおクリックしたくなる見出しとは、記事やコンテンツそのものが力を持っているといえます。

●福田首相が辞任を表明

 この見出しには一切の修飾がありません。でも、ちゃんと事実は伝わっていますし、驚きは読者側にあります。では、この見出しを言葉で飾ってみましょう。

●絶句!あの福田首相が突然の辞任!

 多少おかしい感じはしますが、記事のバリューが変わることはありません。少なくとも事実を伝える報道のトーンではないことは確かです。ときおり固有名詞を伏せてクリックを誘発させる手法を見かけますね。この手法を適用するとどうなるか。

●あの有名政治家が辞任を表明

 これでは、わざわざ固有名詞を伏せる理由がわかりません。一番大きなバリューである福田首相を隠すことで、見出しが持てるはずだったポテンシャルが落ちています。このように、本文のバリューが見出しを決定するのです。決して、その逆ではありません。見出しが立ちやすい記事というのは、バリューが高く、フォーカスが絞られたもの。そういった記事を選ぶのも、編集部員の大きな仕事です。

 ひと月の閲覧数45億ページ、ひと月の訪問者数6970万人、日本最大のニュースサイトといわれるヤフーニュースのヤフー・トピックス。とても簡単そうにみえる見出し作りですが、意外と奥が深い世界なのです。



『ヤフー・トピックスの作り方』
 著者:奥村倫弘
 出版社:光文社
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