「76世代」という言葉を耳にしたことがありますか? 読み方は「ナナロク世代」。1976年に生まれた人たちを指し、彼らは「デジタルネイティブ」に相当するニュージェネレーションと呼ばれています。76世代は価値観・意識・行動様式・メディアリテラシーから信念や仕事観にいたるまで、それまでの世代と違うのが特徴です。IT起業家を思い出せばわかる方も多いかもしれません。PCのネットリテラシーが高く、PCベースで縦横無尽に情報収集し、コミュニケーション活動を行っています。

 また、同様に「86世代」というのもあります。彼らもまた、76世代とは違った価値観や行動様式を持つ世代です。近年ますます激しさを増すメディア環境の変化に対し、過去のどの世代よりもいち早く柔軟に対応しています。ケータイのネットリテラシーが非常に高く、ケータイをメインに情報収集し、コミュニケーションを行います。

 ネットリテラシーはどちらの世代も高いのですが、違いは彼らが使用するデバイスにあります。

 76世代は文章を書くときに、通常はPCを使います。ネットに接続して何かを書き込みたい時も同様です。つまり、PCで「書き」、ケータイで「読む」のです。しかし、86世代は逆。彼らはケータイで「書き」、PCで「読む」のです。大学の教授から話を聞くと、授業で出された宿題をケータイで打ち込み、教授のメールアドレスに送ってくる学生が増えているそうです。それよりマシなケースとして、ケータイで宿題を書き上げ、一度自分のPCへ転送し、レイアウトだけは確認してから教授のメールアドレスへ転送する場合もあるそうです。
 
 76世代までは、PCで書いて教授のアドレスに送る、あるいはワープロソフトで文章を作成し、メールに添付して送るのが通常の光景でした。ところが、86世代はケータイでものすごい量の文章を瞬く間に書いて直接送るのです。卒論までケータイで書き上げてしまう学生が、実際に登場しているのですから。

 86世代は、ケータイのテンキーを驚くべき速さで打つ一方、PCのキーボードはほとんど打てない世代ともいえます。彼らのすごいところは、テンキーを直接、目でみなくても文章を作成できる点。先生に隠れて机の下で、ケータイメールを友達と打ちあうなども、日常の光景だといえます。中には、「日記を両手で書くとなんか違う気がする」と感じる若者もいるそうです。石野純也氏の書籍『ケータイチルドレン』によれば、彼らは「日ごろの気持ちや感想をつづるためだけにキーボードで文字を入力するのは、あまりに本格的すぎて抵抗がある」というのです。

 86世代のこれらの価値観は、76世代にとっては理解しがたいことかもしれません。高いネットリテラシーを持つ若者たちの間でも、世代によって、ネットや情報に対する行動や意識は驚くほど異なるのです。そして、今後は96世代という「ネオ・デジタルネイティブ」の誕生も考えられるのです。

 誕生しつつある"非常識"な若者の謎。書籍『ネオ・デジタルネイティブの誕生 日本独自の進化を遂げるネット世代』で、東大教授と電通マンが、若者の意識と行動を解き明かしています。



『ネオ・デジタルネイティブの誕生』
 著者:橋元 良明、電通総研 奥 律哉、電通総研 長尾 嘉英、電通総研 庄野 徹
 出版社:ダイヤモンド社
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