多くの企業で新入社員研修が終わり、彼らが配属される季節がやってきた。今年の新入社員は、厳しい就職戦線を潜り抜けたと同時に、2002年度から導入された「新学習指導要領」に基づく教育を受けた“ゆとり第一世代”と呼ばれる若者たち。自分たちの世代とは、仕事に対する考え方も態度も大きく異なる若者たちに、戸惑うマネジャーも多いことだろう。では、彼らとどのように付き合っていけばよいのだろうか。企業人材育成のプロであり、ヒューマンロジック研究所でコンサルタントを務める池谷聡氏に、「ゆとり世代」の特徴と彼らを上手くマネジメントする方法を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子、撮影/宇佐見利明)


いけがや・ただし/企業人材の教育研修サービスや組織人事コンサルティングを提供するヒューマンロジック研究所でコンサルタントを務める。著書には『職場を悩ます ゆとり社員の処方せん』がある。

――近年の新入社員は、上の世代からすると理解に苦しむ行動をとることがあり、困惑するマネジャーも増加しているという。実際にどんな“困った新入社員”がいるのだろうか。

 では例として、新入社員の連絡のとり方に関する“困ったケース”をご紹介しよう。仕事を頼まれたある新入社員は、それを納期までに終わらせることができずにいた。そこで、仕事を依頼した別の課にいる先輩に遅れる旨を伝え、先輩は了承して待っていてくれることになった。

 ところが、その先輩は別の仕事をしながら彼の仕事が終わるのを待っていたにも関わらず、いつまで経っても新人から連絡が来ない。心配になった先輩が連絡をとってみると、なんと新人はすでに帰ってしまったというのだ。

 確かめてみると、新人に依頼した仕事は共有フォルダにアップされており、仕事は終わっていた。しかし、新人はなぜ仕事が終わったにも関わらず、待っていてくれた先輩に連絡の1本もせずに帰ってしまったのだろうか。

 それは、「ゆとり世代」と呼ばれる彼らの多くがSNSや携帯電話・メールを多用し、「発信すること」を中心としたコミュニケーションによって育ってきた影響が大きい。自分が発信すると、必ず相手が受信してくれ、「自分の責任は全うした」と当たり前のように感じてしまっているようなのだ。

 また、それに紐付いた例として、「新人が電話に出ない」という現象も最近よく起きている。確かに、新人のときは電話をとることが怖いかもしれない。ただ、彼らが電話に出ない理由はそれだけではない。

 自分が知人からしかかかってこない携帯で育ってきた彼らは、自分宛てではない会社の電話をとることに違和感があるようなのだ。彼らが電話に慣れるには、上の世代よりも随分時間がかかるかもしれない。

――こうした不可解な行動が目に付く新入社員に対して、困惑するマネジャーも多いことだろう。「ゆとり世代」と呼ばれる彼らを生んだ社会的背景とは?

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