サッカーのPKというものは、あらゆるスポーツのなかで最も理不尽なルールではないだろうか。

 現代サッカーのスピードや、足とボールのからみ合い、選手の「演技」のうまさからして、レフェリーがPKを正しく判定するのは不可能に近い。とあるカナダ人の作家はワールドカップを観戦し、サッカーの門外漢ながらもPKをめぐる問題点にすぐ気づいた。

 「PKをもらうありがちな方法は......、ボールとともにエリアに入り、息を詰まらせ、突然倒れ込み、腕と足を広げ、激痛に顔をしかめ、痛み止めを求める。チームメイトは若い命がいわれのない仕打ちを受けたことを嘆き、頭をかかえる。レフェリーは意外なほどこの演技を信じる。試合後には、倒れたのか押されたのかという議論が何時間も続く」

 ときには何十年も続くこともある。ファンはテレビのリプレイを何度見ても、PKが与えられるべきなのかどうかわからないことが多い。レフェリーの誤審は大きくものをいう。おそらくPKは、スポーツのあらゆる判定のなかで最も試合結果への影響が大きい。野球やテニスの審判も判断を誤ることは多い。しかし、野球の場合は54回のアウトがあり、テニスには数えきれないくらいのポイントがあるから、一度くらい間違えてもそれほど影響は出ない。ラグビーやアメリカンフットボールの審判もまちがえることはある。しかし、どちらもサッカーよりは得点の入りやすいスポーツだから、一度の誤審が勝敗を左右することはめったにない。それに、これらのスポーツではその場でリプレイを見られることもある。

 だが、サッカーはそうはいかない。重要なサッカーの試合は1点差で決まることが多いため、PKはたいてい試合を左右する。カナダ人の作家は「PKは反則とその処罰のあいだに途方もない不均衝をつくりだす」とも話す。

 まもなく開催されるW杯南ア大会。この大会中にどのようなシチュエーションで、PKを見ることができるだろう。審判の判断にも注目したい。そこから生まれる新たなドラマが楽しみで、開幕が待ち遠しい。



『「ジャパン」はなぜ負けるのか』
 著者:サイモン・クーパー、ステファン・シマンスキー
 出版社:日本放送出版協会
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