【妖怪小説家・田辺青蛙の「妖しき本棚」8】すべてが吹っ飛ぶ極上スプラッタ・ホラー漫画『血まみれスケバンチェーンソー』

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「日本ホラー大賞短編賞」受賞の小説家・田辺青蛙によるオススメブックレビュー。

 疲れている時、あなたは何をしたいですか? 頭を休めたい時、気分転換に何をしますか? 睡眠? ゲーム? 動画鑑賞? スポーツ?

 僕の場合、物凄く頭の悪そうなホラー作品を手に取りたくなります。今回ご紹介する『血まみれスケバンチェーンソー』はどこに出しても恥ずかしくない、極上の馬鹿スプラッタ・ホラー漫画。いきなり「けだもの幼稚園」のバスがゾンビ軍団に襲われているところから始まります。

 そして園児に応援されながら、パンチラならぬ、褌チラ全開の晒しを巻いた巨乳女子中学生、ギーコちゃんがゾンビをチェーンソーで蹴散らします。ゾンビはいろんな種類が用意されてて、触手がついてたり腕が四本あったりします。イエーイ! 女ゾンビは倒れる時、首から血を流しながらポロリのサービス。もう凄いですね、お寿司を頼んだらケーキとステーキと、ラーメンが出てきたようなてんこ盛りですよ。

 ノーパン女子中学生ゾンビ(優等生らしい)が腕からミサイルを発射した後、足をくるくる回転させながら、あたりを火の海にしたかと思いきや、股間からロケットミサイルですよ。劇中の○○○とか伏字に意味はあるんでしょうか? 主人公のギーコが、きったねぇ親父二匹(別にゾンビじゃない)にレイプされそうになったら、チェーンソーで手足をバッラバラでギッタンギタンですよ。倫理? 何それ、食えるの? ってな感じでノンストップですよ。いいぞ、もっとやれ、ギヒヒヒヒですよ。同級生がゾンビ化して襲ってきたら「何時だと思ってんだてめら〜〜〜!!」と言って火だるまにした後に細切れですよ。『ゾンビ屋れい子』や『サタニスター』、『巨乳ドラゴン』などの作品でも知られる通り、三家本礼の描くスプラッタシーンは物凄くスピーディー。スパスパスパスパっと、まるで切られたことに気がついてないトマトみたいにゾンビがなぎ倒されていきます。(時々人間も混ざってますが)

 凄いのはスプラッタシーンだけじゃありません。敵も味方も入り混じって、急に出てくるシャワーシーンに巨乳のドアップ、わざとらしいお色気絵。これでもかというほどのB級要素満載、物理法則? 何それ、美味しいの? ですよ。

 いろんな嫌なことがあったらこの漫画を手にとって下さい。きっとギーコが悩みをぶった斬ってくれると思いますから。とにかく、ゾンビとか巨乳とかB級好きなら読んで損はない漫画です。もう僕は近所の子どもとかに「ボウズ、ゾンビ好きか?」とか聞きながら布教したいくらいに好きな漫画です。(いや、実際にはしませんよ当然。最近は子どもに声をかけただけで逮捕される世の中ですからね)

 そして最近漫画のレビューばかりが続いているので、次は小説について書こうと思います。多分......。
(文=田辺青蛙)


たなべ・せいあ
「小説すばる」(集英社)「幽」(メディアファクトリー)、WEBマガジン『ポプラビーチ』などで妖怪や怪談に関する記事を担当。2008年、『生き屏風』(角川書店 )で第15回日本ホラー小説大賞を受賞。綾波レイのコスプレで授賞式に挑む。著書の『生き屏風』、共著に『てのひら怪談』(ポプラ社)シリーズ。2冊目の書き下ろしホラー小説、『魂追い』(角川書店)も好評発売中。

※画像は『血まみれスケバンチェーンソー』(著:三家本 礼/エンターブレイン刊)



「妖しき本棚」INDEX
【第7回】後味の悪さが尾を引く、究極のマゾヒズム世界『劇画 家畜人ヤプー』
【第6回】妖怪並みの衝撃! 変態おじさんとの思い出がフラッシュバックする『バカ男子』
【第5回】「げに美しき血と汚物と拷問の世界に溺れる『ダイナー』