多くの球団でここ数年、背番号100番台をつけた育成選手の出場と活躍が着実に増えている。昨年あたりからは、対戦チーム双方のオーダーの中にそれぞれ1人〜2人の育成選手が含まれている試合も珍しくなくなった。

育成枠出身で今や巨人にとって不可欠な存在となった山口鉄也、松本哲也両選手についてはここで触れるまでもないが、それ以外にも中村真人、内村賢介(ともに楽天)はチームの弱点を埋めるバイプレーヤーとして昨季チーム初のクライマックスシリーズ進出に大きく貢献した。また、田中祐貴(東京ヤクルト)はオリックスから戦力外通告を受けながら、トライアウトを経て育成枠でヤクルトと契約し復活。先発ローテーションの一角として活躍するまでになった。

育成枠で入団する選手というのは、入団時点で注目を集めるような実力や実績はなくとも、一芸に秀でたタイプの選手が多い。例えば野手に関して言えば、スラッガータイプではなく、守備や走塁などで職人的な力を発揮する選手であって、華やかさはなくともチームを支える屋台骨として重宝される存在となりうる。いぶし銀的な活躍を選手に期待する、一部のコアなファンにとってはたまらない魅力だろう。

この育成選手制度が開始されたのは、大阪近鉄バファローズがオリックスに吸収合併され、東北楽天ゴールデンイーグルスが新規参入を果たした2005年のシーズンから。この年、従来は東西各6球団で編成されていた二軍のリーグ編成が、東7球団、西5球団とバランスを欠いたことで、変則的な日程を強いられることになった。そこで、イースタンリーグ・チャレンジ・マッチと呼ばれる教育リーグを新設し、7球団からの選抜選手から編成される「フューチャーズ」を参画させたり、巨人・千葉ロッテの混成チームとして結成された「シリウス」(2010年シーズンから全7球団の育成選手主体のチームとして編成)を通常のリーグ戦に参画させるなどして、日程を埋め合わせている。さらに、社会人野球チームとのプロアマ交流試合も年を追うごとに活発になっており、選手にとっては活躍をアピールする機会が増えて一軍昇格への門戸が広がると同時に、ファンとしても観戦機会が増え、リーグの盛り上がりにつながっている。

さらに顕著なのが、近年各球団とも一軍同様「地域密着」を掲げ、ファンサービスに注力しているという点だ。特に日本ハム、湘南(横浜ベイスターズ二軍)などは、鎌ヶ谷市(千葉県)や横須賀市(神奈川県)という一軍本拠地とは異なる地域のファン取り込みのため、試合前後の交流イベントに選手を積極的に起用したり、球場周辺でのグッズや飲食物の販売などにも特色を打ち出しており、それらの満足度は一軍の試合と比べても遜色ない水準にある。

一方、球団数が減ったウェスタンリーグでは、試合数の減少(イースタン108試合:ウェスタン96試合)による育成面での”東西格差”を危惧する声が徐々に出始めているようだ。これに対してプロ野球選手会からは、四国・九州アイランドリーグ、関西独立リーグなどとの交流試合を行うといった具体的な改善案が提示されている。

今季のイースタンリーグは、昨季リーグ新記録となる30本塁打を放った中田翔を一軍昇格(その後故障で戦線離脱)で欠く日本ハムが首位に立っている(5/3時点)。もちろん昨年優勝の巨人も、戦力の充実度では一軍の層の厚さから推察されるように二軍でも他を圧倒しており、優勝候補筆頭であることに変わりはない。見どころ満載のリーグ展開に、いやが上にも期待が高まるところだ。

※毎週月曜日更新

■筆者紹介
松元たけし
野球は観るのもプレイするのも大好き。そしてビールが生きがいの20代後半。
好きな球団はV9巨人と広岡監督時代の西武、そして野村監督時代のヤクルト。
センスのいい声援を送りたいがうまくいかず、観戦中に秀逸な野次を聞くと嫉妬を覚えてしまう今日この頃。

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