【セルジオ越後コラム】日本は己の弱さをまず認めるべき
今週は各地でチャンピオンズリーグが行われたね。
まずヨーロッパでは、バイエルン・ミュンヘンとインテルがファイナル進出を決めた。インテルはディフェンディングチャンピオンのバルセロナを破っての快挙だ。
日本のファンの中でも、下馬評ではバルセロナ有利という声が多かったんじゃないかな。第1戦でインテルが2点のリードを得ても、カンプノウで逆転できると、かなりの人が信じていたと思う。今のバルセロナはそれだけ素晴らしいサッカーをしているし、恐ろしいほど強いからね。
とはいえ、バルセロナは今回のインテルのように守りに徹したチームに対して、国内リーグでもけっこう苦戦することがある。強者のつらいところだね。これだからサッカーはわからない。
一方、アジアチャンピオンズリーグではグループリーグが終わり、日本は4クラブ出場して鹿島とG大阪が勝ち残り。韓国が4チームすべて勝ち上がり、うち3チームが首位通過ということを考えると、やはり日本サッカーの地盤沈下を感じずにはいられない。その国のサッカーは代表の強さに比例するのだから、当然の結果と言えるかもしれない。
Jリーグは決してレベルが高い競争とはいえない団子状態で、3連覇中の鹿島も、マルキーニョスがいるといないでプレーレベルが大きく変わってしまう。結局外国人FW頼みと指摘されてもしょうがないよね。
今、日本サッカーは間違いなく低迷期だ。代表、クラブ、そして個人も、谷間の時代にある。中田英寿を筆頭に次々と飛び出していったときに比べると、かなり寂しい状態だよ。
一番の問題は、低迷期にあることを、誰も認めようとしないことだ。これは日本サッカー界の悪しき文化かもしれない。それはマスコミもしかり。臭いものに蓋をして、なんとか次の話題までつなごうとする。その結果、嘘くさい報道が蔓延する。
だから対応が遅れてしまうんだ。自分はガンじゃないと検査を拒み続け、ようやく検査したときには末期だった、というような感じだね。
プラス思考であることが美徳とされているのかもしれないが、意味のないプラス思考はプラスとは言えない。もっと冷静に自分たちの力を分析する必要があるよ。ネガティブではないマイナス思考とでも言うべきかな。強い国にはそれがある。そうした意味で、日本サッカー界はまだまだセミプロレベルだと思うんだ。(了)
サッカー解説でお馴染みのセルジオ氏による辛口コラム。