3月下旬に開幕したペナントレースも早や一ヶ月以上が経過。カードが一巡してこれからがいよいよシーズン本番といったところ。大型連休中はセ・パ両リーグともに9連戦の日程が組まれており、各地で熱戦が展開されることが予想されるが、まとまった休みが取れるこの時期、地方や郊外の球場で行われている二軍の公式戦に注目してみるのも面白い。

イースタンリーグを中心に年間数十試合を観戦している筆者は、そんな二軍戦の魅力にとり憑かれた一人である。休日ともなれば関東一円の二軍本拠地を梯子してまわり、夏場には海に行く機会もないのに観戦焼けで真っ黒な肌に・・・。今日もスタンドから一人、愛をこめた熱視線を送り続けている。

そもそも筆者が二軍の試合に初めて接したのは、今から7年前の5月の昼下がり、当時自宅近くにあった荒川の河川敷を散策中に、翩翻と翻るヤクルトスワローズ(当時)の球団旗を偶然目撃したのがきっかけだ。唐突な光景に目を疑いつつ近づくと、青々と雑草が繁る土手際の閑散とした球場で、ヤクルトと西武のユニフォームを着た選手たちが試合を行っていたのである。それはさながら映画「フィールド・オブ・ドリームズ」を髣髴させるような美しい光景。若葉の季節、ヤクルトの二軍本拠地・戸田球場脇の土手に腰掛けて観戦をしたとき、一軍の試合とはまったく異種の魅力を感じたのである。

以来、二軍戦の観戦に情熱を傾けてきたわけだが、レベルが一般的に一軍を下まわる二軍戦を敢えて観戦する醍醐味というのは、筆者が感じてきた中では次のようなものだ。

1)若手選手の努力する姿や成長にふれられる
中田翔(日本ハム)や菊池雄星(西武)など、鳴り物入りで入団する選手のみならず、近年脚光を浴びている育成選手などもここから巣立っていく。毎年大勢の選手が入団する中、大半は日の目を見ずに引退していくことになるわけだが、入団当初から着目していた選手がやがて一軍のゲームで脚光をあびるようになるのは、自分が育てたような気持ちを味わえてなんだか嬉しい。高井雄平(ヤクルト)が入団した年に二軍で初勝利を挙げたときは、筆者の隣の席で丁度お母様が観戦しておられ、試合後は握手攻めにあっていた。今季入団8年目にして野手転向となったが、以来高井選手には常に熱い声援を送っている。

2)復活を期して調整中の選手や、衰えゆくベテラン選手の奮闘にふれられる
高橋由伸(巨人)のような一流選手でも、故障や不振で調整を余儀なくされると、復帰に向けここで日々地道な調整を繰り返す。また、一昨年の清原和博(オリックス)に代表されるように、かつての輝きを失いながらも現役に固執し、復活を志すベテランが泥まみれで試合に臨む光景は、感動とともに人生の教訓となる。

3)お目当ての選手やコーチと至近距離でふれあえる
1軍の試合にくらべて選手・コーチとファンとの距離が近い。往年の名選手が引退後にその球団のコーチとして所属していることが多く、現役当時近づけなかった元選手と触れ合えるのはこの上ない喜びだ。個人的には岡崎郁二軍監督(巨人)、高橋慶彦コーチ(現二軍監督・ロッテ)に握手していただいたのが一番の思い出。

4)太陽の下、天然芝の上で行われるプロ野球
一軍の試合は春秋の週末を除いてナイトゲームが主流だが、二軍戦はほぼ全試合がデーゲームで行われる。さらに人工芝やドーム球場ではなく、天然芝の屋外球場で試合が行われるため、芝生の香りの中で「野球は太陽の下でやるものだ」というメジャーリーグの球団が信条とするような、野球の原点ともいえるシーンに接することができるのだ。

5)格安の入場料金
前述の戸田球場やロッテ浦和球場、西武第二球場など、入場料無料の球場がいくつか存在する。また、ジャイアンツ球場も格安の年間パスポートを発行(注:昨季まで)するなど、とにかく観戦料金の設定が懐にやさしいため、時間が許す限り球場に通うことが出来る。
ただ、観客席が少なく、いささか粗末な造りの球場が多いのも事実。「お金を払っても良いから、もう少し観客席を整備して欲しい」と思ってしまうのは筆者だけだろうか。

もちろん感じる魅力は人それぞれであり、この他にも挙げればきりがないだろう。皆さんもこの連休中は、ぜひお近くの球場に足を運ばれてはいかがだろうか。

次回は、イースタンリーグが近年にわかに活況を呈してきている現状と、その背景について追ってみたい。


※毎週月曜日更新

■筆者紹介
松元たけし
野球は観るのもプレイするのも大好き。そしてビールが生きがいの20代後半。
好きな球団はV9巨人と広岡監督時代の西武、そして野村監督時代のヤクルト。
愛読書は山際淳司と海老沢泰久のスポーツコラム。オススメの一冊は「走れ!タカハシ」村上龍・講談社。
いつか東京ドームのビール(\800)を、値段に躊躇することなく買えるようになりたい。


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