「国民投票法」はどうして「欠陥法」と呼ばれているのか?

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 「日本国憲法の改正手続に関する法律」、通称「国民投票法」という法律をご存知だろうか? 日本国憲法九十六か条の下で初めて作られ、2007年5月18日に制定、そして2010年5月18日から新しく施行される法律のことだ。
 衆・参議院の国会が発議する憲法改正案を国民投票で、「過半数の賛成」を得た場合に、憲法改正の手続きができるというものだ。

 だが、この法律、「欠陥法」と揶揄されるほど、様々な問題を含んでいるという。
 例えば、この法律では「最低投票率」が定められていない。投票率が極めて少なくても成立してしまうのだ。投票率が40%だとしても、投票した人の過半数が賛成であれば可決なのだから、数字上では全有権者の「20%の賛成」があれば可決することとなる。

 アスキー新書から刊行されている『欠陥「国民投票法」はなぜ危ないのか』(アスキー・メディアワークス/刊)では、専修大学法学部名誉教授であり、国民投票法に関し、参議院憲法調査会等で公述人を務めた著者の隅野隆徳氏が、「国民投票法」が内包する問題点について言及する。

 この「国民投票法」でよく話に出てくるのは、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」という条文の日本国憲法第九条二項の条文だ。
 この条文を巡っては、専門家、知識人、文化人をはじめとした様々な人々の間で議論がなされている。しかし、「国民投票法」が施行されたら、この条文の扱いを私たち国民が決めるときが来るのかも知れない。そのとき、「どちらでもいいです」という返答では済まされないだろう。その決定に関わるのは自分たちの世代だけではない。自分の子ども、孫たちの世代までずっと影響するのだ。

 法律や憲法は難しいし、政治家や偉い人たちが勝手に決めていることで、法律が変わっても、私たちの暮らしが変わることはない…。なんて思っている人は多いかも知れない。
だが、今一度、日本の憲法について考えてみるべきではないだろうか。
(新刊JP編集部/田中規裕)


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