プロ野球の開幕戦を観戦中に「小説を書こう」と決意した大物作家

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 案の定、『1Q84 BOOK3』(新潮社/刊)が凄まじい勢いで売れている。
 発売間もない頃に、知り合いの書店員に売れ行きはどうかと尋ねたところ、「実感として、『ハリー・ポッター』以上の勢いっていう感覚はあるね」と話していた。
 さらに最近では、売り切れになっている書店も数多く見かけられる。

 しかし、ここまで日本中を騒がしている“村上春樹”って一体ナニモノ?

 アスキー・メディアワークスから出版された新書『村上春樹の秘密 ゼロからわかる作品と人生』(拓植光彦/著)は村上春樹氏の素顔に迫る入門書だが、その中から村上氏にまつわるエピソードを2点ご紹介しよう。

◆「ぬいぐるみを着て出演していいなら出ます」
 メディアにはほとんど出演しない村上氏。未だに顔を見たことがない人もいるのではないだろうか。この記事の筆者自身も2009年のエルサレム賞受賞時のスピーチをニュースで見て以来、テレビでその顔を見たことはない。
 そんな村上氏のテレビに出演しない理由は「顔を見てがっかりされるのがいやだから」「やたら人見知りする性格」というなんともシンプルなものらしい。また、しつこく要求されたときには「ぬいぐるみを着て出演していいなら出ます」と答え、相手を唖然とさせたエピソードも。
もちろんマスコミが苦手という側面もあるのだろうが、なんとも極端な話だ。

◆小説を書くきっかけはデイヴ・ヒルトンの二塁打
 村上氏は東京ヤクルトスワローズのファンと知られ、90年代に活躍した土橋勝征内野手(現在はコーチ)を贔屓にしていた。そんな村上氏が小説を書くきっかけとなったのも「野球」であるらしい。
 1978年4月1日、神宮球場に広島東洋カープを迎えての開幕戦。1回裏、1番遊撃手、デイヴ・ヒルトン。そのヒルトンがカープの好投手・高橋里志投手から二塁打を打った瞬間、村上氏は“天啓を受けた”のだというのだ。そうして完成したのが『風の歌を聴け』(講談社)である。なんとも作家らしいエピソードだ。
 ちなみに1978年、ヤクルトスワローズは球団設立29年目にして悲願の初優勝を遂げているほか、村上氏が小説を書く“きっかけ”となった二塁打を打ったヒルトンはその年、37二塁打を放ち、好打者として活躍をしている。

 人見知りだったり野球好きであったり。あまりメディアに顔が出さないので、「本当に自在する人物なの?」とお思いの人がもしかしたらいるかも知れない。そんな人は『村上春樹の秘密』を読んで、村上氏の人となりに触れてみてはいかがだろうか。
(新刊JP編集部/金井元貴)


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