委員長激白が波紋

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   日教組トップの中村讓中央執行委員長が、日経ビジネスのインタビューで明らかにした内容にネット上で批判が相次いでいる。愛国心を強制するな、学校はもっと牧歌的でいい、などの主張が一般常識とずれているというものだ。日教組では、「言葉尻を捉えられた」と釈明するが…。

   中村讓委員長のインタビュー記事が2010年4月21日に日経ビジネスサイトに載ると、そのコメント欄に批判的な声が殺到。23日夕までに170件以上がアップされ、炎上状態になっている。

「社会科の校長が音楽の教師らを指導することは疑問」

   記事は、見出しもセンセーショナルだ。「『日教組』ってイメージ悪い?」に、「執行委員長が激白『それは校長がだらしないから』」というサブタイトルが付いている。

   中村委員長は、まず脱ゆとり教育について聞かれた。これについて、東大を目指すだけの詰め込み主義の危険性を指摘し、次のように述べた。

「子どもが進むべき道って。もっと牧歌的でもいいんじゃないか」

   土曜授業の話が出ると、「そんな質問より、教職員の数を増やしてもらいたいね」。そして、日経ビジネス記者が、違法献金事件を起こした北教組の組合員は楽をしたいとばかり考えている、という校長の意見を紹介すると、「(校長に)指導力が欠如している」「だらしない」「だからつけ込まれる」と色をなして反論した。

   一方で、教育職場は、上意下達のない「なべぶた式」でよいと主張。その理由に教員が専門職であることを挙げ、例として、社会科の校長が音楽の教師らを指導することに疑問を呈した。

   また、グローバルな時代だとして、「愛国心を強制するな」と訴えた。国旗掲揚時などの起立強制もおかしいとしている。

   記事は、コメント欄ばかりでなくネット中で話題になり、そのほとんどが批判的な意見だ。批判で多いのは、次のようなものだ。

   子どものことを考えず自分が楽をしたいだけ、北教組のことなどまるで他人事ではないか、税金を使う公務員なのに勝手なこと言うな、愛国心を持たない人間が世界を愛せるわけがない…。

日教組「言葉尻を捉えられた」

   これに対し、日教組の広報部長は、取材に対し、次のように釈明する。

「記事では、発言を継ぎ接ぎして書かれ、言葉尻を捉えられてしまいました。インタビューの流れの中で言っており、記事ではニュアンスが違うところもあります」

   当初の取材説明では、校長や主任らの管理職が学校組織をどう動かすかというテーマだったという。それが、最終的に北教組の問題などにすり替わっていたというのだ。ただ、発言については、「言っていることはそうかもしれない」としている。

   ネット上の批判について、広報部長の説明はこうだ。

   楽をしたいことについては、日経ビジネスが指摘しただけと反論。

「教職員は、事務仕事が増え、むしろ休みが取れないほど働き詰めです。インタビューでは、子どもたちと接する時間がないという意味で言ったわけです」

   日教組は連合体なので、運営方針の違う北教組には押しつけはできないとし、公務員管理については、「管理職は、時間やお金の使い方をきちんとさせればいいわけで、教育の内容については、一緒に考えるようにしてほしいということです」と言う。また、愛国心については、「一律に日本を愛せとはどうなのかとは言いました。諸外国を知るようになるから、日本のよさが分かるということです」とした。

   そのうえで、広報部長は、「委員長が悪いのではなく、記事の載せ方が悪いと思っています」と話す。日経ビジネスに抗議などはしないものの、今後はインタビューを受けないとも言う。

   一方、日経ビジネスの編集部では、「今回お尋ねの日教組に関する記事に関して、弊誌の記事掲載後に、取材者である当方には取材対象者である日本教職員組合から直接、公式にご連絡を頂いたことはありません。そのような状況で、第三者である御社からの質問やコメント依頼にお答えするのは適切ではないと考えます」とコメントしている。

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