「早く自立して大人になりなさい」

 親からこんなこと言われた経験はありませんか? もしくは、子どもに日ごろからそう言い聞かせている親もいることでしょう。でもその前に、あなたは子どもの頃十分親に甘えていたでしょうか? また、子どもは十分に親であるあなたに甘えてましたか?

 「小さいときに甘えられなかった人間は、自立もできなくなる」と話すのは、精神科医の土居健郎さん。土井さんは09年7月に亡くなられましたが、『声に出して読みたい日本語』の著者・齋藤孝さんとの共著『「甘え」と日本人』でそう警告しています。

 なぜなら、「小さい子どもが親に甘えられるということは、親の愛情を信頼し、そこに安んじていられるということ。小さいとき甘えられなかった人間は、正しく甘えられないので、その分ひそかに甘ったれたり甘やかしたりする結果が生まれ、これが日本の社会をダメにしているということが言える」からなのだそう。

 また、甘えることが「妬み」を抑止することにもつながるとも。例えば自分の下に弟や妹が生まれると、親の愛情を取られるような気がして妬みの感情が芽生え、先生に褒められる子をそうでない子が妬むとか、学校ではその「妬み」がいじめに繋がることもあります。でも自然に沸いてくる感情ですから、こればっかりはどうすることもできません。
 
 しかし、そんな時に甘えが容認されている社会では、妬みは緩和されるのだそう。「甘えたい気持ちがあるので、妬みがそれほど深刻にならないで済む」と土居さん。つまり「甘え」が「妬み」という毒抜きに繋がっているのかもしれません。

 でも「甘え」にも正しい「甘え」と正しくない「甘え」があるのでご用心。親が甘えさせようとして甘えるのではなく、子どもは自然に甘えてくるもの。「うちの子は甘えてくるから大丈夫」って方。自分が子どもを甘やかすことが気持ちよくて甘やかしていませんか?



『「甘え」と日本人』
 著者:土居 健郎, 齋藤 孝
 出版社:角川書店
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