【日本″未解決事件″犯罪ファイル11】全裸発見の茨城大女子学生絞殺遺体 遺留品から検出の″男性2人分のDNA″の謎

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何かが狂ってしまった現代社会。毎日のようにニュースに流れる凶悪事件は尽きることを知らない。そして、いつしか人々はすべてを忘れ去り、同じ過ちを繰り返してゆく......。数多くある事件のなかでも、未だ犯人・被疑者の捕まっていない"未解決事件"を追う犯罪糾弾コラム。 

[第11回]
美浦村舟子地内における女性被害殺人・死体遺棄事件
(2004年1月)

 2004年1月31日午前9時頃、茨城県稲敷郡阿見町のアパートに住む茨城大学農学部生物生産科学科2年の女子学生・原田実里さん(当時21歳)の全裸遺体が、美浦村舟子を流れる清明川の河口付近で発見された。

 遺体の首や胸には鋭利な刃物による傷、両手両足には圧迫痕などがつけられていたが、検死の結果、直接の死因は首を強く絞められたことによる窒息死と判明。現場には被害者のジャージ(下)が残されていたが、上着や下着などの衣類や靴が発見されず、血痕も少量、足の裏に汚れが見当たらなかったことから、殺害現場は別の場所である可能性が高いと見られている。胃に残されていた内容物から、「死亡推定時刻は同日午前0〜3時」と発表された。一体、実里さんの身に何が起こったのか......? 彼女の前日の行動、自宅と発見現場の位置関係などから事件を振り返ってみる。

 1月30日午後1時、東京・渋谷で所属サークルの代表として「トライアスロン学連運営委員会」に出席し、副委員長に選任される。午後4時半に退席。午後6時過ぎに大学4年の男子学生(当時21歳)に電話をして待ち合わせの約束をする。渋谷駅から上野駅まで東京メトロ銀座線、上野駅から土浦駅までJR常磐線を乗り継ぎ、午後9時過ぎに帰宅。午後10時過ぎ、スーパーで買い物を済ませ、男子学生と自宅で酎ハイを飲みながら食事。しばらくして、男子学生がうたた寝をしている間(本人の供述によると午前0時頃)に実里さんが外出。メモの書き置きが残され、「ちょっと知り合いに会いに行きます。遅くなります」と本人の筆跡で書かれていた。部屋からは愛用のダウンジャケットがなくなっていたが、眼鏡・コンタクトレンズ(近視/視力0.1)と携帯電話は残されていた。

 午前8時、男子学生が起床してメモを発見し、心配して友人らの携帯に電話をかける。実里さんの行方が分からないまま、男子学生は車で帰宅。午前9時頃、彼女の自宅から約4.5km離れた前述の場所で通行人に遺体が発見される。午後3時頃、男子学生がニュースで事件を知り、警察に連絡。4時頃、稲敷警察署で実里さんの遺体を確認する。

 遺体発見から4日後の2月4日、自宅から約2.5km離れた土浦市内の空き地で実里さんの自転車が発見される。尚、この自転車は31日午前8時に同じ場所に放置されているのを目撃されていることから、彼女が自宅からこの場所まで乗ってきたか、別の場所から運んだ(乗った)犯人が乗り捨てたか、どちらかの可能性が高いと見られている。

 事件発覚当初は抵抗した形跡が見られず、足の裏に汚れがないこと、裸眼での外出に不審な点があることなどから"室内犯行説"が有力視され、死亡推定時刻の少し前まで行動をともにしていた男子学生が疑いの目を向けられたが、警察に自ら問い合わせていることや供述に矛盾がないこと、被害者宅から血液反応が検出されなかったことから、被疑者対象から外されている。また、その後の調べにより、遺留品から検出された男性2人分のDNAにいずれも適合しなかったことが報じられた。

 この事件には不可解な点がいくつかある。まずは、実里さんが男子学生を部屋に残したまま外出していること。男子学生が眠らなかったとすれば、外出をする予定だったのかどうかが分からない。携帯電話には午後9時以降の着信・発信履歴がなく、誰かから連絡があったとすれば、固定電話でのやりとりか、直接の訪問があったと考えられる。

 次に、携帯電話を置いて出かけていること。誰かと長時間会うために、連絡手段として最も便利な物を置いて行くだろうか? 考えられるのは、持って行くのを忘れてしまったか、途中でほかの誰かから連絡を受けるのを避けたか、誰かに与えられていた別の携帯電話を持っていたか、といったところだろう。

 そのほか、眼鏡・コンタクトレンズをつけないまま、自転車で外出していることや、軽装にも大きな疑問が残る。眼鏡では会いたくない相手だが、コンタクトをはめる時間が惜しい。しかし、ジャージ姿で会える親密な相手? ますます謎が深まる......。

 そして、最大の謎は"男性2人分のDNA"だ。警察からの公式発表はなく、捜査関係者からのコメントを地元テレビ局が報じたものだが、これが本当だとすれば、事件の真相につながる大きな証拠となり得るはずだ。全裸遺体、そして現場に唯一残されていたジャージに付着したDNAが物語るストーリーは、誰の想像に難くない。しかし、遺族や関係者への配慮からか、この証拠を追求するための積極的な捜査は継続して行われていない。

 後日、被疑者不明の凶悪事件として公的懸賞金制度の指定を受け、事件解決への有力情報の提供者には最高300万円の懸賞金がかけられたが、09年1月31日に終了。以降は遺族や友人による「原田実里さん被害の殺人事件の捜査に協力する会」が私的懸賞金200万円を設定している。

 真冬の寒空の下、冷たい川の水にさらされていた被害者の無念を思うと、犯人の卑劣な行為には吐き気すら催してしまう。せめて安らかに眠れる日が訪れることを願うばかりだ。
(取材・文=神尾啓子)


<被害者のプロフィール>
名前:原田実里さん(当時21歳)
身長:165cm 視力:0.1
居住地:茨城県稲敷郡阿見町 本籍:山口県
学校:茨城大学農学部生物生産科学科2年(トライアスロンサークル所属)
遺留品:血液が付着した被害者のジャージ(下/黒色)、自転車(自宅から約2.5km離れた土浦市内の空き地で発見)

<情報>
懸賞金:200万円
(平成23年1月31日まで)※延長の可能性あり

<連絡先>
美浦村舟子地内における女性被害殺人・死体遺棄事件捜査本部
TEL.0120-110-705
稲敷警察署
TEL.029-893-0110(内線332番)
茨城県警察本部捜査第一課
TEL.029-301-0110



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