亀田ジムに「復活前提の処分?」ボクシング協会・大橋会長の玉虫決着に批判の声

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 JBC(日本ボクシングコミッション)は13日、亀田史郎氏の暴言騒動に対して、史郎氏のライセンスを取り消し、再発行も認めないという事実上の永久追放処分とし、亀田ジムの五十嵐紀行会長もライセンスの無期限停止という厳しい処分を下した。とはいえ、12日の段階で、東日本ボクシング協会が亀田ジムを「除名」としなかったことで、ジム自体は消滅という最悪の事態を避け、復活の可能性も残すことになった。これは、史郎氏らの捨て身の戦術に対応が緩んだ協会が結論を先送りにしたためだが、その判断に関して、協会内部から大橋秀行会長の舵取りを疑問視する声も上がっている。

「大橋会長は12日の理事会後の記者会見で、なぜか実際の状況とは違う説明をした」

 こう訝るのは、業界の内部事情に詳しい協会関係者だ。

 暴言騒動を受けて、東日本協会はまず、6日の緊急理事会で処分について議論したが、その段階では、亀田ジムを「除名」すべきいう意見が大多数だった。そのうえで結論を出すはずだった12日の理事会を迎えたが、これに対して亀田側が先手を打った。

 亀田側は、史郎氏がライセンスを自ら返上して業界から身を引くことや、協会の許しが得られるまでは、ジムも自主的に無期限の活動停止とすることを申し入れ、そのうえで何か問題があれば、いかなる処分も甘んじて受けるとまで宣言したのだ。

 さらに理事会に参加した弁護士が、いきなり除名をした場合は裁判沙汰になる恐れを指摘したこともあり、協会は新たに調査委員会を設けて、騒動の経緯やジムのあり方などを再検証したうえで最終処分を下すことになった。大橋会長は12日も参加した理事らに意見を求めたが、実際にはそこでも「除名すべきという意見が多かった」(協会関係者)という。

「にもかかわらず、なぜか多数決は取らず、会長への一任のような形となり、記者会見で大橋会長は『今日は除名の意見は出なかった』などと話した(同)

 さらに、その記者会見でも会長の説明があいまいだったこともあり、報道陣からも厳しい質問が続いた。

 特に、協会預かりとした三兄弟の今後について、亀田ジムで練習をしないことを、どうやって確認するのかなどと、矢継ぎ早に聞かれた大橋会長は、「それは五十嵐会長を信用して」というフレーズを何度も繰り返した。

 しかし、五十嵐会長が翌日のJBCの倫理委員会で、ライセンスの取り消しや無期限停止といった厳しい処分を受けることは、12日の段階でも分かっていた。

 このため、報道陣や協会関係者の双方から「そもそも処分を受ける会長を信用するとは、どういうことか」「活動できなくなる五十嵐会長を信用しても意味がない」という批判が出ているほか、関係者の多くが「まるで亀田ジムの復活を前提としたような話になった」という印象を受けたともいうのだ。

 また、別の協会関係者は「なぜ大橋会長は、理事会の参加者に厳重なかん口令を出したり、記者会見で取材制限などもするのか」と疑問を呈している。

 12日の会見は、運動記者クラブの加盟社以外は参加できず、雑誌などが排除されたが、この関係者は「議論の過程を明らかにしないと密室で物事を決めていると見られかねず、余計に悪く書かれてしまうことになりかねない。逆に今回のように世間の注目を集める状況で、協会としてオープンな姿勢で毅然とした態度を示せれば、プラスのイメージを作るチャンスだっただろう。そして、こうした内部の批判を封じるような振る舞いもおかしい」と問題点を指摘する。

 一方、大橋会長に近い関係者のなかには、今回の大橋会長の一連の判断に理解を示す声もないわけではない。

「大橋会長の言動は、惻隠の情から来ているのだろう。今回、自ら腹を切ると申し出た亀田のクビを、あえて跳ねるわけにもいかないということ。ただ、それならそれで、もう少しうまく説明もできたとは思うが......」