ジョゼ・モウリーニョ監督率いるインテルを抜き、セリエAの首位に浮上したクラウディオ・ラニエリ監督のローマ。勝ち点を68とし、インテルに1ポイント差をつけたローマは、15ポイントもの勝ち点差を挽回した。インテルが最もリードしていたとき、ローマとの差は14ポイントもあったのだ。

第10節のウディネーゼ戦で今季5敗目を喫したとき、ローマの勝ち点が11だったのに対し、インテルはすでに25ポイントを積み重ねていた。このとき、ローマの士気は地に堕ちていたのだ。その4日後、ローマはホームにボローニャを迎える。アダイウトンのゴールでリードを許したものの、そこからすぐに反撃が始まった。ミルコ・ヴチニッチが今季初ゴールを決めて同点としたのだ。それでも、ホームのファンはヴチニッチにブーイングを浴びせた。

だが、この日のハーフタイムのドレッシングルームで何かが起きたのだろう。ラニエリ監督が魔法の言葉をかけたのかもしれないし、選手たちが屈辱を感じてプライドを見せるようになったのかもしれない。52分、シモーネ・ペッロッタが逆転ゴールを奪い、ボローニャを下したローマは、ここから17勝6分けと23試合連続で無敗を貫いたのである。

第12節、敵地サン・シーロでのインテル戦も、ローマは1−1とドローで持ちこたえた。そしてバーリとアタランタを下し、ユヴェントスがインテルを下した翌日、ラツィオとのダービーをマルコ・カッセッティの決勝点で制し、インテルとの勝ち点差を縮める。続くサンプドリア戦は引き分けたが(インテルもドロー)、翌節パルマ戦では再び勝利。ルカ・トーニのデビュー戦となったカリアリ戦はまたもドローに終わったが、ここはインテルもバーリと引き分けた。

キエーヴォ、ジェノアを下したローマは、1月23日にユヴェントスとの一戦を迎える。アレッサンドロ・デル・ピエーロのゴールでリードを奪われたが、負傷したトーニに代わって出場したフランチェスコ・トッティの得点で追いつくと、終了直前の93分にはジョン・アルネ・リーセが逆転弾。これほど劇的な勝利であれば、何かを変えることもできるだろう。この時点でローマはインテル、ミランに続く3位に浮上した。ただし、まだインテルとの勝ち点差は大量11ポイントもあったのである。

しかし、ローマはその後も勝利を続ける(シエナ、フィオレンティーナ、パレルモ、カターニア)。一方で、インテルはナポリ、パルマ、サンプドリアを相手に3試合連続ドロー。これでローマは5ポイント差に迫った。ところが、続くナポリ戦で引き分けたことにより、勝ち点差は再び7ポイントに。その後の2試合では、ミランとスコアレスドローに終わり、さらにリヴォルノ戦でも引き分けてしまった(だが、インテルもこの2試合で1分1敗)。

第29節、インテルが敵地パレルモで引き分けた一方、ローマはウディネーゼに4−2と快勝。ヴチニッチがハットトリックと大活躍するなど、間違いなくチームは絶好調となった。そして続くボローニャ戦で、リーセとジュリオ・バチスタの得点で2−0と勝利を収めると、3月27日に4ポイント差のインテルをホームに迎える。

この天王山でMVP級の活躍を見せたのは、ケガから復帰したトーニ。彼の決勝点でローマは2−1と直接対決を制し、これでついに1ポイント差。翌節は両者ともに勝利したが、第33節でインテルがフィオレンティーナと引き分ける。その翌日、ローマはヴチニッチとカッセッティの2ゴールでアタランタに白星。これでマイナス1ポイントからプラス1ポイント、2位から首位へと浮上した。

次節、両チームはそれぞれダービーマッチを控えている。ローマはラツィオとのローマダービー、そしてインテルはユヴェントスとのイタリアダービーだ…。